第5回 民主・仙谷塾 2006年10月15日(日)/於:ふれあい健康館

テーマ…「いろどりがわが町に起こした奇跡」/講師…「株式会社いろどり」代表取締役 横石知二


仙谷由人:今回で5回目になりました。この塾を始めるにあたって書かせていただいたのは、全国のいろんな地域で吹き出ている中央政治との矛盾を、地域再生、「コミュニティ・ソリューション」という言葉のもとに、いかに解決できるかということでした。

 地域再生を考えたときに、地方議会、議員の役割というものが何なのかを改めて考えてみる必要がありました。一般的に「町おこし」とか「元気作り」とか言われる現象の中での、政治の場に身をおく者としての役割を考え直してみようと、仙谷塾を始めました。

 この間、いろんな角度から考えてきました。マニフェストをどう作るのかという角度、議会再生にはなにが必要なのかという角度、地域再生のきっかけとして教育を考えてみようなど。色々学んできましたが、結局のところ、一番必要なのは人々の行動です。我々は市場経済のなかで生きていますので、どうしても金を稼いで生きていかねばならないという宿命があります。

 2ヶ月前に、NPO法人のETIC.(エティック)という会社が出した『好きなまちで仕事を創る』という本に触れました。全国的に自立的、自発的に事業を興して、輝いている団体を紹介しているのですが、その巻頭に登場するのが「いろどり」です。いつか「いろどり」のお話を聞きたいと思っていまして、今日は急遽横石さんにお話が聞けるということになって、誠にありがたい限りです。お忙しい時間を縫ってお越しいただいた横石さんに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 私自身は今、家庭・家族や地域コミュニティが綻び崩壊しつつあるのではないかということを、指標や現象から感じています。これからの地域コミュニティ再生の核を、誰がどのようにして作るのか。その時の政治の側の役割、リーダーシップがどのような形であるべきなのか。あるいは議会はどのようなアプローチをし、支援をしていくべきなのか。

 横石さんからは、「いろどり」が現在の姿になるまでの問題や喜びや悲しみ、ここまで成長した秘訣も聞けると思います。どうぞ宜しくお願いします。

横石知二:ご紹介を頂きました上勝町、株式会社いろどりの横石です。民主党の方々には日ごろお世話になっていますこと御礼申し上げます。でも私はあまり政治には関心がありません。商売をする事が大好きです。これまでを振り返って自分なりに良かったと思っているのは、農協時代の17年間、その後の会社経営の7年間、一度も赤字をだしたことはありません。農協時代は17年連続毎年1億以上収益を延ばしてきました。会社も7年連続黒字です。そういう意味では非常にビジネスで時代の流れを読めてきたんだろうと思います。そして、この事業が地域にとって大切な事を教えてくれました。

 いろどり事業をやってよかったと思うのは、家族の仲が非常に良くなったことです。上勝町のおばあちゃん、おじいちゃんが涙を浮かべながら「息子が地元に帰ってきてくれた」と言っていました。今、4世代で住んでいる家庭も何軒かあります。都会では3世代で住まない家庭も増えていますが、上勝町では一緒に生活できること、息子が故郷に帰ってきて、一緒に仕事ができることの喜びを感じてくれるようになりました。

 私は、みんなが「自分の存在感がある」と感じられるように徹底的に事業を改善してきました。地域づくりをしようとか、街づくりをしようということを思ったことはありません。やはり人生は、生活の中で自分の役割があって、やるべきことがあるというのが一番大事だと思ってやってきました。

上勝町のいま

 上勝町は、今マスコミで騒がれています。先週は韓国NBCテレビが経済番組を独自企画して、日本代表は上勝町となりました。少子高齢化問題については韓国は日本よりも深刻です。このままいくと韓国がつぶれてしまうという危機感から、解決策として最も良い事例を国民に紹介したいと取材を受けました。私たちが上勝町がやっていることが、今の日本でやらなければいけないことである、韓国でもそう思われているのでしょう。

 日本の地方都市はあと5年もつかどうか。このままいくと大変なことになると思います。現状でも畑は荒れ、高齢者ばかりで活気が全くありません。日本全体は景気が良くなっているといいますが、これは東京、名古屋だけであって、地方では景気が良くなっている実感はありません。

 上勝町は、町としては県内でも一番人口が少なく、65歳以上の高齢者が約半分です。この数字だけをみれば、すぐにでも隣町と合併をお願いするというのが普通の立場ですが、上勝町は非常に元気です。地域資源会社を5社作りました。木の会社、コクチョウの会社、営業企画の会社、きのこの会社、交流の会社です。全部で130名ほどが働いています。町には寝たきりの人は殆どいません。1人あたり医療費は県内で32位です。一ヶ月当り26万円で、徳島市とあまり変わりません。県内のトップが46〜47万円ですから、20万円違います。いろどりの仕事を作ることで、福祉、教育、環境、この3つに結びついています。

 国が財政難でもたないから社会保障費をどんどん削っていくのは当然でしょうが、本当に福祉を必要としている人にはなくてはならなりません。ここは、きっちりと働ける人は現役で働いてもらって、そして本当に体が不自由で病気になった人はきちんと介護が受けられる仕組みを組み立てていかなければいけません。

 徳島県は第1次産業を核とする県です。第一産業が衰退すればするほど、高齢者を商品化するような産業の形がどんどん進みます。高齢者が電話をかけてデイサービスを頻繁に呼ぶような状況になっていますが、このようなことはやってはいけないと思います。高齢者にも仕事を作って、自分が社会と繋がっている、社会の役に立っている、自分の仕事を持つことで元気を作っていくような地域をつくっていくことが今、徳島にとって必要なことであると思います。

 上勝町のゴミは34種類分別しています。2020年には町のゴミをゼロにすると頑張っています。現在リサイクル率は80%、生ゴミを含めると86%です。全国的にこの運動は注目されていますが、この考え方は皆さんから頂いた大事な税金を何にもならないもの(ゴミ)に何故あれほど投入しなければいけないかということです。ゴミがどんどん増えるからといって、他の手立ても考えずにどんどんお金を投入するのはよいことでしょうか。環境は悪くなるし、お金はかかります。

 単に焼却したりするだけでなくて、ゴミにももっとよい使い方があるのではないかということでこの運動を始めたら、ゴミの量が3分の1まで減りました。ゴミを出せる時間帯が便利です。自分の好きな時間に、土曜日や日曜日でも持って行けます。日本という国は、国が決めた価値をもとに、どの地域も同じような行政を行っていますが、もっと地域には地域のやり方があって、地域で地域のやり方を考えていくことが必要です。

 上勝町ではゴミの分別に関して、きれいな町を作ると物が売れるということを教えました。行政から押し付けられた取り組みというのでは駄目なのです。きれいな町を作ると自分たちが作っている葉っぱが売れる、スダチ、しいたけが売れるとなることを教えてあげると、それは自分自身の生活の事になります。

 ここが一つのポイントですが、やらされているという押し付けではなくて、地域の形に合わして提案していき、組み立ててあげれば、住民にとっては少なくとも苦になりません。嫌々するのと自分の問題と捉えるのでは結果が違ってきます。こういうやり方が事業のうまさに繋がってくると思います。

 構造改革特区も全国的に推進されていますが、徳島県は設置数が全国最下位です。徳島、沖縄が最下位で、長野が一位です。徳島県では全く特区が出てこない。何故なのかといえば、地域のことをこんなふうにしたらいいな、あんなふうにしたらいいなと考える人が少ないということです。何かに本当に困ったり、こうしようと考えれば、国の規制を払ってでもなにかをやろうということを県でも地域でも声を上げていけるはずで、徳島や沖縄はそういう面ではまだまだ保護されているのでしょう。結局そんな事は考えなくても良いという環境にいるからです。

 上勝町内にタクシーの会社がありません。そうしますと、限られた台数のタクシーで住民を送り迎えしたりしています。ここは非常に注目していただきたいのですが、地域の燃料を地域で考えていくことをやっています。なぜ重油がないところで重油にお金をかけなければいけないのか。燃料というのは地域の循環です。山にある木を間伐材として燃料化します。そうしますと地域の環境の良くなり、資源を循環できます。こんな良いことはありません。

 箱モノをいくら建てても、お金がかかるだけで地域でなにかが循環できることはないと思います。地域の資源のもっといい使い方を考えていくべきだと思います。

 自分が生活している、ここにあるものを活かすこと。ここでなければできないこと、人も物も環境も、そこにあるものを最大限活かしていくことが必要です。こんな山間地に大会社がくるわけでもないし、いい人材も集まりません。そこにある人、そこにあるもの、環境を、一番いい形で活かしていくことを考えてきた事が非常に良かったと思います。

 いま、上勝町の学校校舎は全て住宅になっています。学校をそのまま住宅にしています。今後学校はどんどん廃校になっていきます。自分が育った学校がカズラを巻くと、その地域の活気が一気に落ちます。自分が育った字、自分が出た学校には誰もが相当の思い入れがあります。その学校が幽霊屋敷になると、いたたまれない気持ちになります。学校は絶対に何かに活かしていくことが必要です。

 次にゴミ処理場ですが、上勝町では、近所のゴミ収集施設に、毎日ゴミを資源として住民が持ってきます。全部住民が持ってきます。さらに持ち込んだゴミを34分別しています。ここで重要なのは、自分のやったことが目に見えてくるということ。何をやっているか分からなければ意味がありません。このゴミは埋め立て処分になります、これはガラスの原料になります、これは北海道にもっていってこうなります、ということを回収箱に書いておくと、住民は納得をしてやすくなります。

 そして子供にこのことを教えます。ここが大事です。子供を連れて行き分別をさせます。そうすると、子供の頃からゴミや環境に対する意識が高くなります。子供の頃から教えてあげればあげるほど、窓からゴミを投げたりしなくなります。

 それから上勝町では構造改革特区として、交通特区などの申請をしています。それから地域燃料、バイオマスですが、これは日本で初めてモクガイのチップを燃やして燃料としています。これが非常に活躍しています。この材料を持ってくると地域通貨と取り替えて買い物ができるようにしています。

 それからワーキングホリデーを活用して、都会の皆さんを呼び込みながら空き家の掃除をしたり、道作りをしたりしています。長野の飯田市と上勝町とか全国で4箇所、こういう取り組みをしているようです。私たち田舎の人間にとっては普通は嫌な仕事ですが、これに全国から人が集まってきて、一生懸命しています。それから棚田のオーナー制度です。 

 皆さんに種明かしをしますと、何故ここまで上勝町がここまで注目を浴びるのかといえば、UIターンです。この数年間で受入数が120名を超えました。どんどん人が入ってきます。ゴミ分別を担当してくれている人はデンマークからやってきた24歳の若者です。

 Iターンと地元出身者ではどちらが仕事を頑張るのかを比べると、全く問題になりません。次元や意識が違います。地元の人はできるだけ関わりたくないと思ってしまいます。多分そういう教育を受けてきたのだろうと思います。Iターンの人は田植えから稲刈りからスダチ取りといった、イベントにはなんでも一生懸命になります。ここに来れば自分の出番がある、と思ってやってきています。できるだけ関わりたくない子と、できるだけ関わっていきたいと思っている子では気持ちが全く違います。

いろどりのこれまで

 私自身は徳島市南部地区の生まれで、高校卒業後2代前の上勝町長にスカウトされて上勝町の農協に就職しました。当時は住民から、「なぜ、よそ者を雇うのか」といった反対、批判がありました。

 上勝町へ来て一番驚いたのが、とにかく酒飲みが多いことです。雨が降ったら盛り場になり、お父さん達は一升瓶を提げて、役場や農協になだれ込んでいきます。お母さん方は「私たちは沢庵を食べてでも息子を東京や大阪に行かせて、いい会社に就職させる」と言っていました。驚いたのは子供に向かって「勉強しなかったらここにいなあかんのよ」と言っていたこと。なんてさびしいことなんだろうと思いましたが、ちょっと調べてみると分かりました。

 山の中で、米やそばや大豆を作っても、内職や電子業、みかん、林業、上勝のどの産業を取っても都会のサラリーマンの足元にも及びません。あの山の中で米を作っても、三石も取れません。二石半です。換金しても数万円。これほど経済基盤が弱いのかと思うほど弱いのです。

 そして他人を批判するし、あきらめているし、女性の出番がないし、時間に対してはルーズです。こんなことで、都会に対する負け組意識が体の中にしみこんでいます。これを何とかしなければいけない。

 そんなときに町長が「批判があるのならなんでも言ってみろ」と言うので、「酒ばっかり飲まずに何か夢を与えることはないのですか」と答えましたら、町長は顔を真っ赤にして怒りました。上勝町に残るか、徳島に帰るのか、どうしようかと思案しながら、しかし、ここまで馬鹿にされたら、逆に自分でなにかをやっていきたい、自分でできることをやりたいと思いまして、徳島の市場に行商で出荷しながらモノを作っていきました。

 この葉っぱの商売を考えたきっかけですが、とにかく暇だということが人間にとってどんなに悪いものかという出発点でした。女の人が集まったら嫁や近所の悪口を朝から晩まで言い合って、何をやっているのかなと思いました。この人達はやることがないかなと思いました。明日起きたときに「これをしなければいけない」ということを作ってあげなければいけないと思いました。

 そして、大阪でご飯を食べていたときに、女の人が料理につく「つまもの」に感激しているのにヒントを得ました。徳島の田舎の環境と、都会の環境の違いにそれまではあまり意識がなかったのですが、この環境の違いを理解してやらなければいけないということに気がついて、急いで帰っておばあちゃんたちに声をかけました。

 はじめは「私にだってプライドがある。こんなもの(葉っぱ)が売れるはずがない」と言われました。また、あるおばあちゃんは私に向かって「横石さん、葉っぱをお金に変えることばっかり考えないで、仕事は真面目にしなさい」と説教をされました。「北海道から沖縄まで葉っぱがいくらあると思ってるの。そんな寝ぼけたことは言うな」と怒られました。

 それでも、私の頭から大阪での出来事が離れなかったので、なんとか4人を口説いてスタートしました。でもまったく売れませんでした。

 5円、10円でも売れないので、もう止めようかなと思っていたら、ひょっこり4人が来て、「こんな葉っぱでは使えないんじゃないか」と言われました。そうか、それなら現場に行って観察しなければ、と気がつきました。

 でも、実際に料亭にいってみたら全部出入りを断られてしまいました。どうしたものかなと思案していたら、ある人が「横石さん客で行ってみろ」と言ってくれました。当時の私の給料が7万8千円でしたが、料亭へ行くと1回につき1〜3万円もかかる、高いなあとおもいながらも足を運んでみると、今度は料亭も喜んで受け入れてくれました。使用人でいくと反感を買うのに、客でいくとこんなに大事にしてくれるのかと驚きました。お客として通いながら、どうやって葉っぱを使うのですかと聞くと教えてくれました。なので、これは客でいくしかないなと思って料亭に何年間か通いました。

 ここまでしても、どうしてもやりたかったのです。これは上勝の地域にとって、自分でしかできないことだから、という思いがありました。

 でも、「草を売るぞ」と言うと、ある人が「ここに生えている草はハエが食べるものだ」と返すものですから、料亭に連れて行こうと、京都の祇園、東京の赤坂などに連れて行きました。電車に乗ったことがない、飛行機に乗ったことがない、という田舎のおじいちゃんおばあちゃんでしたから、これを現実をちゃんと見せなければいけないと思いました。 

 そうやって料亭通いを続けているうちに、料理人も町に講習に来てくれるようになったりして、おじいちゃんおばあちゃんは本当に今幸せを感じてくれています。

いろどり成功の秘訣

 いろどりをやっている人たちは、実はお金儲けもすごいです。大体1日2万5千円くらい稼ぎます。80歳代で一月60万円の収入は町長クラスです。孫にマンションを買ってあげたなんという話もあったりで、ビジネスとしては成功しました。

 徳島の産物で飛行機一番運搬されているのがいろどりです。全国にフライト便で飛ばしています。

 こうやって事業を進めていく上で、絶対に必要なのは「仕組み」です。これを絶対に作らなければいけません。これをやるか、やらないかが大きな分かれ目です。上勝町は仕組みをどんどん作りました。日本ではなかなかできない仕組みを構築していきました。

 まず一つは役場の防災電波を利用してFAXでいろどりの情報を受ける仕組みを開発しました。いろどりの注文も急ぎのものは全て電波、FAXで送信をします。

 そして、高齢者が使えるコンピューターを開発しました。山の中を全部商品棚にしようと、必要な人に必要なものを、全部その棚から取り出していくにはどうしたらと考えていました。そのためにコンピューターがいるだろうと考えたのですが、これはふつうなら高齢者には使えません。どうしようかと思いましてある県に視察に行きました。そこでは全戸にコンピューターを配ったのですが、住民には全然使われていなかったのです。「使わないのですか」と聞くと、「使うことがない」と答えられました。

 この言葉で、今まで自分が考えていたことが間違っていたことに気がつきました。まず何をするのかを考えて、仕組みを作らなければいけないということに気付きました。行政で作ったものをただ配布して与えるというのでは駄目なのです。現場で作って、何をしたいかということを伝えなければ出来ないということに気付きました。

 早速町議会に言うと、「自分達が使えないものがお年寄りに使えるわけがない」と言われて諦めかけていたときに、通産省の公募事業に引っかかって、1億600万円で実証実験事業として高齢者用のパソコンを導入することができました。

 凄く簡単なシステムになっています。画面の一番下に成績表が出て、毎日ランキングが出るようにしました。そうすると「絶対に隣の人には負けたくない」と思うようになって、そうしますと仕事が面白くて仕方がないみたいです。

 仕組みを作らないと人の意識が変わりません。長年の生活の習慣から抜け出す事ができないのです。私もこの間、講演を何十回としてきましたが、聴いて頂いていた皆さんでも、まったくものになりません。何故駄目かといえば全部その場限りだから。「いい講演だった」とか「いい勉強になった」といっても、家に帰れば元通り、どうしても他人事だと思ってしまいます。

 結局、上勝町と他のみなさんとの一番の違いはどこかといえば、上勝町のおばあちゃんは自分で考えるようになったということです。

 自分で考える力を持てば、徳島は絶対に生き返ります。それだけの「素材」があるからです。一次産業関連の素材はぴか一です。しかし、それを活かす力がないというか、自分で考える習慣がありません。だから仕組みで意識を変えなくてはいけません。

 今まではそれぞれの地域にリーダーがいて、その人たちが情報発信をして地域全体を動かしていました。役場や、農協や、森林組合、商工会、商店街などの組織がそれを動かしていました。

 しかし今は全くできません。出るくいは打たれる、余分な事は絶対にしてはいけないような組織の雰囲気になってきたり、一方で組織が大きくなってきたり。そうすると、自分がなにをやっても、こんな大きな町ではしょうがないという諦めが出てきています。

 ですから、今や一人、一人が組織に頼らずに力をつけていかなければならない。自分自身の問題意識をもってもらわないといけません自分に振ってきます。そのことで頭を使う訓練が求められます。

 例えば、私が最初に上勝町で出会った65歳のおばあさんも今や80歳代になりましたが、今のほうがはるかに能力が高いです。人間、脳を使う頻度で変わるのですね。若い人でも何も考えずにボッーと過ごしているのと、本を読んだりして考えるのでは能力に大きな差が出てきます。単純におばあちゃんだから能力が落ちていく、というわけではありません。 

 単純作業ばかりだと思考しなくていいですから能力が落ちる、行き過ぎた福祉はいけません。お年寄りにも絶対に自分で行動することを教えていかなければいけません。コンピューターも知らなかった上勝町のおばあさんたちも、やればできるようになるのです。絶対出来ないことはありません。

 地方ではアイデアや知力や個性で生きていくしかないのです。一人ひとりを事業家として育てる、農業、水産業、林業でも一人一人を事業家として育てていく環境を整えていくことが必要です。県外からの情報でやる気を育て、自分に磨きをかけさせることが必要です。

地方にいま必要なもの

 この間一番落ちてきたのは、そのやる気ですね。ちょっと頑張ろうかという気持ちになるのと、ちょっと疲れるなと思うのは全く違ってきます。これがすごく大きい。合併して市町村がどんどん大きくなって、その中で失われてきているのが気です。地方は合併で大きくなりながら個人の存在感がどんどん無くなってきました。

 さらに第一次産業が儲からなくなってきたことも大きい。そして先ほども言ったように、自分たちが育った学校がなくなる、これが人間の気を一気に落としてしまいます。その上で公共事業が減ってきた産業不安が重なっています。ですから私が「地方でこんな事をしよう」と言ってもほとんどの地域にはそんな気すら起きないでしょう。ギリギリのところまできています。

 そんな状況ですから、パソコンのキーボードを押してみよう、画面でも見てみようという一歩、前へ踏み出せるかどうかが大事です。いくら光ファイバーを徳島県内に整備しようが、使う人の気持ちがないと、ハードウェアだけでは絶対にうまくいきません。

 コンピューターに関して私は一生懸命勉強しました。徳島県民は多分私と同じように負けず嫌いですから、これを悪い方向へ使ってはいけません。私は死ぬまで競争していきたいと思っていますから。競争心がなくなれば、モチベーションが上がらなくなるし、自分の存在感が無くなってきます。「あの人に負けるか」という気が非常に人生の励みになっているのです。

 今、皆さん結果に対して行動しているんじゃないですか。例えばゴミが増えればゴミの焼却施設を作る、お年寄りが増えてきたら介護施設を作るという感じで。でも、本当の福祉は、産業ができる人を育ててあげる事が本当の福祉ではないでしょうか。お金も同様です。病院に行って1万5000円とか2万円払うのと、病院に行かずに2万円稼ぐのと、それで元気ならこれは凄く大きいことです。

 ゴミも一緒ですね。どんどん増えるからゴミ施設を作れば作るほど、お金はかかります。どうやって減らすか、地域のきれいな環境をどうやってつくるかという事を考えればいい。農地が荒れるのは農業が儲からないからです。地域に産業が育たないから荒れるのです。では、どうすればいいのかを考えなければ本当はいけないんじゃないでしょうか。

 この徳島でどんな価値を生むことができるのか。おばあちゃんが多いのはどうして駄目なんでしょうか、皆さん錯覚しています。おばあちゃんが月に50万円も稼いでいるのはすごいと思われているでしょうが、逆です。いろどりはおばあちゃんだからできるのです。木登り、植物を育てる知識で若い人はおばあちゃんには勝てません。人には絶対に自分の得意なところを生かせる場面があります。

 たとえば、阿波踊り。阿波踊り大学選手権を見てみますと、1位は徳島文理大学、2位は四国大学です。国立の徳島大学は駄目なんですね。どうしてかといえば、みんな阿波踊りでは「徳島大学に負けるな」という気持ちで頑張っているからです。徳島大学には絶対に勉強では勝てない大学生たちの阿波踊りを踊っているときの顔は輝いています。

 おばあちゃんでも一緒です。おばあちゃんたちの特技を活かせる、いろどりという場面を作ってあげることが大事です。

 みかんも売れない売れないと言っていますけれど、どうして売れないのでしょうか。みかんを使う場面がないから売れないのでしょう。ではどうすればいいのか。みかんは皮を剥くと手が汚れますよね。ということは、剥いた皮を入れるビニール袋とティッシュをセットにするとか、たとえばそんな考え方ではないでしょうか。

 徳島にももう一度池田高校が甲子園で駆け上がったときのような雰囲気が必要です。やはり他県から見て、阿波踊りしかないのかと言われたときに、他にもこんなことが自慢で射るよと言える切り札を持つことが大切です。上勝町ではおばあちゃんが切り札、ゴミの分別も切り札です。徳島にもみんなが共通して自慢できる、ふるさとに対する想いが必要です。そうやってつくっていく、一体感も大事だと思います。

 今、20歳代で田舎にいきたいと考えている若者が多い。確かに、徳島で生まれながら県外に一旦は出て、でも20代後半にふるさとで何かやりたいなという子もいます。それとまったく逆に、根っからの都会育ちで、田舎にいって何かをやりたいという子も沢山います。どんどん地域にこんな子たちを入れていくことが必要です。

 ただ、この子たちは期待を持っているのに、いざ活躍できる場面がありません。これをどうやって作るかは課題です。経済産業省に行って提案したことがあります。1つは、地域資源を生かすために予算を付けてくれとか、町の会社を作るのを補助してはどうかと言ったりしていました。つまり、この若者たちが町の会社を作って地域ブランドを作ってそれを情報発信し、売っていくことです。プラス地域の人達と一体化して仕事をしていくことも提案しました。たしかに町営会社がいいのかどうかは分かりません。でも、会社や組織を作らなければ、この若者たちが働ける地域を作っていかなければいけません。

 また、団塊の世代をいかに地域の戻し、いかに活用するかもポイントだと思います。団塊の世代の男性は大抵都会の女性と結婚したりしていて、ですからその女性たちが入ってこれるような地域でなければなりません。ということは女性が働ける環境と生活環境を整えていかなければなかなか戻ってきません。この20代と50代が今後の地域の中でどう生きていけるのかがポイントなのかもしれません。

田舎に生きる私たちの誇り

 最後に、「個を育てる」という事が大事だと思います。合併をして、町は市町村計画や振興計画などいろんなことをやりますが、私はうまくいかないと思います。上から形を作っているからだと思います。それは形だけで終わってしまいます。農業を地域で再生するためには農家一人ひとりが楽しめる形を作っていかなければ絶対にうまくいきません。

 何度も言いますが、県民みんなが自分の事だと思えるような形をいかに作るか。これが個を育てる事だと思います。単に上から形を作るのではなくて、一人ひとりが社会の役に立って自分が存在感があって、ということをいかに伝えていくか。そのために徳島ブランド、上勝ブランド、地域ブランドをしっかりと作る。

 最近、感動的なことがありました。80代のおばあちゃんがもみじの葉っぱの苗を植えていたところを通りかかったのですが、そのおばあちゃんが「横石さん。これは私の夢を撒いてるんです。私は100歳までできると思うんですけど、私の子供や孫がこれを継いでくれると思うから、今苗を撒いてるんです。」ということを言っていました。この言葉には感動をしました。この年齢になっても夢が叶えられるのだなと思いました。

 結局自分がここに生まれてよかった、ここに住んでよかったと誇りに語れるかどうかです。「勉強せなんだらここに死ぬまでおらんとあかんのよ。」と言っていた人達が、この土地への誇りを持って、そのうえで家族の仲が良くなった理由がよくわかりました。それはこんなおじいさんやおばあさんを見ているうちに、子供があのようになりたい、年をとったらこうなりたいという憧れ、尊敬の気持ちを持てる、だから家族の仲が良くなったんだと思うのです。年寄りが病院や診療所に日に日に通っているような田舎には帰りたくないと思うのかもしれません。

 徳島県民80万人ならそれでいいじゃないですか。1000万人になることが幸せではありません。後継者を育てることが一番大事でしょう。若い人に帰ってきてもらえるような町にしたい。その為には絶対に産業を育てていく。産業、仕事がなければみんな帰ってきませんから。

 地域に生まれて誇りを持つこと。皆さん是非、このようにすれば地域が良くなりますよ、このようにすれば地域が輝きますよという提案、夢を掲げてください。明るい、こう生きたらいいんだという夢を提案して、具体的にイメージできるようなものを作り上げてみてはどうでしょうか。

 先輩方を目の前にして偉そうなことを申し上げられませんが、小さな町の取り組みですけれども皆様方に応援していただいて、小さいなりにも輝いていきたいと思いますので、今後もご指導をいただきたいと思います。ありがとうございました。

質疑応答

A:今、国の農業政策は大規模化へと進んでいます。しかし、私は逆だと思っています。小規模でも丁寧に値段がしっかり付く上質のものが取れるというのが、得に徳島県のようなところでの生き残っていく一つの方向だと思うのですが、どうでしょうか。

それと、徳島県はたくさん色んな生産物があります。その中で、東祖谷に「目薬の木」という木があって、そのエリアだけで呼んでいる名前かなと思っていたら、実は調べてみると実際に目薬の木というものがありました。肝臓に非常に効くらしいのです。こういった薬草や薬木を商品としてブランド化することについてご意見がありましたら教えていただけたらと思います。

横石知二:おっしゃるように大規模化は徳島の方向性ではないと思います。そういう意味では個性化や、何か自分の強みを持って販売していく形を作っていかなくてはいけないと思います。産地間競争とよく言われますが、私は産地間の競争ではなくて、自分がどれだけ磨かれるかが勝負であると思います。自分を認めてもらえるように努力がどれだけできるかが勝負だと思います。

それから目薬の話ですが、徳島ほど資源が豊富な県はないと思います。それをお金に換えることが下手なのかなと思います。ただ葉っぱなら、その葉っぱに付加をかけたらいいのです。いろどりの葉っぱ1枚で30円します。いかに付加をかけるのか、場面と知恵です。

B:横石さんは色んな所に講演に行かれたり、視察を受けておられますが、そうやって外に情報を発信することのメリットを教えてください。

もう1つは1000万を稼ぐ80歳、90歳のお年寄りがいて、しかも競争をあおるシステムでやってこられたのですが、そこではいわゆる「足の引っ張り合い」のような事は起こっていませんか。

横石知二:オープンにして外に宣伝をして商売の効率が上がります。オープンにしていくことが、需要を広げていくことになると思います。何度も言いますが、本当に他の地域ではこういう事業ができなくなっている。宝はたくさんあるのに、それを事業にする勢いがありません。日本の地方はもう5年したら、どんな状態のなのか分かりません。行政の福祉バスとかタクシーしか走らないような、そんな悲惨な状況かもしれません。

 以前、中国地方のとある地域で電車に乗っていて、延々と荒地がずっと続く風景を目にしました。こういう地域が甦るのは、よほどのことがない限り無理ではないかという感じがしました。これから3年が、地方が駄目になるか良くなるかの分岐点だと思います。

 足の引っ張り合いがないのかというご質問ですが、ないといえばうそになります。やはり競争させていますからあります。いまのパソコンを使ったやり方がいいかどうかは分かりませんが、私が10年ほど前に考え出したのが、先程の仕組みです。いわゆる事業体を一人一人家の中につくっています。そうすることで喧嘩が起こらないようになっています。これを一箇所に集めて作業させていたら、とんでもない喧嘩になると思います。

 これからは田舎から都市部へ人を一箇所に集めて集団で仕事をさせたり、その方がいいという提案をする人がいますが、私は逆に難しいと思います。集めてきたら喧嘩が始まって大変です。やはり自分のペースで、個人事業家として確立してもらうのがいいと思います。こういうコミュニティビジネスを作ること、さらにはブランドになればいいと思っています。

C:四国では高知県が色々と先進県だと言われていますが、今日のお話で徳島にも誇れるものがあると感じました。今、民主党徳島県連でローカルマニフェストを作成しています。その中でゴミの問題があります。身近な問題ですが、永久的に大きな課題であると感じています。上勝町では凄く細かい分別をなされていますが、商店街などと一体化させて地域通貨を発行させてなんらかのメリットを皆さんに感じてもらうのがいいのか、ゴミの分別のことをもっと詳しく教えていただけたらと思います。

横石知二:上勝町のゴミ分別がうまくいったのは、行政の押し付けでなかったからだと思います。

結局ゴミが増えると焼却費用に対してお金をどんどんつぎ込まなければなりません。この悪循環から脱却をして、環境問題としてゴミに取り組んでいくのは非常に大切だと思います。ただ、上勝町では絶対量としてはゴミの量は多くないと。つまり、コンビニ生活をしない限りそんなにゴミは出ないのです。やはりコンビニでは商品が全部包装容器に入っていますから。田舎では野菜などは自分で作っていますから、そういう点は比較的やりやすかったのはありました。

 これから県内でもゴミ問題をどうするかといったときには、ゴミの処理問題として解決するのではなくて、きれいな町を作るとか、環境的の大切さを強調するとか、そこにゴミを組み入れるべきだと思います。

 他の自治体が視察に来た時に「上勝町は2000人の人口だからできる。自分の所は1万人の人口だからできない」と言う方がいます。結局知恵がなくて、自分たちの問題としてゴミを捉えられていないんだと思います。どうやって感心をもたらせるかが秘訣だろうと思います。

 地域通貨ですが、成功している例は殆どありません。なぜ成功しないかといいますと、地域通貨の見返りに魅力とメリットがありません。知恵がない、ソフト力がありません。見返りを出すのは本当はもったいないのだけれど、こんな考えに陥ってしまっているから地域通貨は効果がありません。地域通貨をつかうと、利用者にも商店主なんかにもどういうメリットがあるのかというソフト面が大きいと思います。

仙谷由人:私の方からもお伺いしたいと思います。今日のお話は本当に感動的でした。しかし一つ出てこなかった存在がありました。それは上勝町議会、あるいは上勝町議会議員の話。いろどりの事業の中に政治がどのような役割を果たしていたのか。議会や議員というのは地域再生、町おこしにどういうことを意識して動けばよいのか、横石さんの感想をお伺いしたいと思います。

 もう1点、担い手の育成、あるいは座学を深めるための専門学校のようなものが第一次産業には必要なのではないかと思うのです。つまり、いろどり事業の中ではパソコン、ITがツールとして相当の役割を果たしています。これからの第一次産業については、やはり一歩でも半歩でも実践の中でそういったツールを応用できるような人材を育てるという事が非常に大事だと思います。それは放っておいてはできないと思いますから、県立農業大学校とかそういったところをどう活用するのか、徳島ではどのように考えていったらいいのか。

 それから3つ目はバイオマスエネルギーの話ですが、地方の里山が荒れているという話もありましたが、林業の問題と山の保全を我々はどのように考えていけばよいのか。上勝町ではそんなひどい状況ではないのかもしれませんが、どう考えていったらよいのか、お気付きになる点がありましたら教えてください。

横石知二:上勝町に関して言えば、私が町外から来た人間だから、変化に対して非常に敏感に対応できたのだと思います。

 確かに議会が行政とか町全体を監視しなくてはいけないと思います。ひとつだけ不満を言いますと、政策的なことでもう少し提案があればいいと思います。

 第一次産業の人材育成は大変難しい。県の教育委員会はとにかく個性化を嫌うのですが、しかし教育も個性的でなければ駄目な時代にきていると思います。教育を受けたさきのゴールが見える教育をしなければ、就職できるかどうかも分からない、なにが得られるのかも分からないでは駄目だと思います。

 農業大学校も今は中途半端になってしまって、行く所が無いからとりあえず、そんなところになってしまっています。これはさびしいです。やはり夢や目的をしっかりつかんで、そこへ通えばゴールへ行けるという形が必要であると思います。

 いい人材を育てる事は凄く大切だと思います。多種多様な専門的ビジネスを学べるような教育を行うことが必要だと思います。最近思っているのですが、凶悪犯罪が増えています。田舎の良さが、今まであったコミュニティが消えていって、隣人が何をしていても関係ないとか、目の前で犯罪に手を染めようとしているのも黙っているような地域になってしまいました。悪循環になっていると思います。かなり状況が悪くなっていると思います。

仙谷由人:今日の中で、ITをつかって、おばあちゃんたちを一人一人独立した事業家として、個にうまく切れたのでうまくいったというお話がありましたが、しかし協働的な部分や助け合いの部分がないとうまくいかないと思います。そこのところのコラボレーションはどのようになっていますか。

横石知二:例えばゴミの問題ですが、車に乗れない人がいたら代わりにゴミを持っていってあげたりします。個々に独立するだけでは駄目で、地域コミュニティとしての良い部分を兼ね備えなければいけないと思います。個々に切っているようですが、コミュニティ的な部分と合わせて大事にしていかなければいけないと思います。

D:町の活性化は経済的なインセンティブがなければ長続きしないのではないかと思います。短期的には色々と皆さんが知恵を出しあって、地域の皆さんの能力を生かしてやっていけると思うのですが、いろどりのように継続的に発展させていくには経済的な付加価値が無ければいけないと思うのですが。

横石知二:やはり経済的基盤というのは人にとって大きいと思います。東京のベンチャーの方と私もお付き合いがあるのですが、決定的な違いがあります。東京は人材を選べて、自分がやれば頑張った分だけ認めてくれるし、伸びます。しかし、田舎では足を引っ張られます。だから謙虚というリュックを背負って見せておいて、上手に商売することが必要です。ここが都会と田舎の違いです。

E:すばらしいお話どうもありがとうございました。私もまさに横石さんと一緒で、地方がこれから伸びていく為には地元に産業を作ることが大切だと思っています。東祖谷や勝浦などを回っていると、おじいさんおばあさんが多いです。そこでお話を聞くと、子供は大学を出たら東京や大阪に出て働きにいく。なぜかといえば、地元には仕事が無いので東京や大阪で働かざるを得ないのです。そんな状況ですが、徳島の良さを本当に分かっていれば、横石さんのように地域で仕事を作る出すことができると思うのですが、そのためにはどのような働きが必要か教えていただけたらと思います。

横石知二:一番の課題はどうやって後継者を育てるかということです。ということは、事業を仕組みにすることが必要です。やはり組織や仕組みを提案できなければ長続きしません。田舎を活性化させます、だけではなく具体的にもっと突っ込んだアイデアがないと住民は共鳴しないと思います。

 具体性がなければいけないと思います。私は会社といいましたが、そこは皆さんの知恵で何か具体的に動かせうる仕組みを考えていただきたいと思います。

F:今日は徳島県人のすごい気質をお話頂きありがとうございます。地方分権の時代は個人の自立が鍵を握ると思います。徳島県あるいは日本全体を考えたときに、個人の自立を促すには2つのポイントがあると思います。教育と経済的基盤であると思います。

 経済的基盤を確立することには上勝町は成功されていますが、先程の横石さんのお話の中で「個で切る」ということには少し疑問がありまして、地方の時代は横のつながりがメインになってくるのではと思うのです。個の分断をしながら横のネットワークを広げていく為には住民意識を高めることを考えていく必要があると思います。上勝町では感覚的に、住民同士のつながりが以前よりも深まったのではないかという意識がありましたら教えてください。

横石知二:私も当初は個で切ることに対して非常に悩みました。皆で一緒にやれるような社会になれば良いと思いますが、それがなかなかできませんから、一人一人を事業家にしたほうがいいと思いました。何故うまくいくかといえば、やはり誇りなんです。

仙谷由人:横石さん、ありがとうございました。私たちが現場で一人ひとりが、今日横石さんがおっしゃったことを拳々服膺しながら頭を使って考えていく。議論をして、もだえながら考えていくしかないと思います。本当に貴重な体験と体験を普遍化したお話をしていただきまして、ありがとうございました。