第2回 民主・仙谷塾 2006年5月14日(日)/於:ふれあい健康館

テーマ…ローカル・マニフェストとは/講師…西尾真治氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経済社会施策部 プロジェクトリーダー)/参考図書…「ローカル・マニフェストによる地方のガバナンス改革」(株式会社UFJ総合研究所 国土・地域政策部/株式会社ぎょうせい発行


司会(乙井):今日の司会は仙谷の東京事務所で秘書をしております乙井と申します。宜しくお願いします。本日はUFJ総研の西尾真治さんに2部構成でお話を頂きます。前半はローカルマニフェストとは何かという総論的な部分をお話いただきます。後半は、地方議員が作るローカルマニフェストについて具体的なお話を頂きます。それでは、塾長の仙谷さんから挨拶をお願いします。

仙谷由人:週末のお忙しいところを熱心にご参加頂いていること改めて御礼を申し上げます。今日は、ローカルマニフェストの意義や重要性をかねてからシンクタンクなどで研究をされてきた西尾さんに来ていただきました。

 一つ前提として、頭の整理として考えていただきたいと思います。政治学・財政学の用語で「一般政府」という言葉があります。一般政府という政府を構成するのが行政府です。従いまして、地方自治体でいえば、首長をトップとした県庁なり市役所が一般政府です。

 中央政府でいえば中央政府の中の内閣総理大臣、各行政長も一般政府を構成していますが、普通、政府という言い方をすると、我々議会は、政府の内側にあるのかないのかということをあまり意識しないで過ごしています。

 反政府活動というと、野党が、時の政府に対し抗議をし、異議を申し立てるというのは反政府活動の1つというのは俗的な理解をしていますが、実は議会というのは一般政府の内側にあります。

 西尾さんの著書である「地方のガバナンス改革」という本があります。この本の題名に「ガバナンス」と書いていますが、ガバナンスを訳すると「統治」といいます。つまりコーポレートガバナンスという言葉が最近、流行っていますが、これは企業統治、企業の運営の仕方や経営の仕方という意味です。

 地方のガバナンス改革というのは、今の時代、あらゆる所で重要だという事がようやく意識されてきました。要するに会社で例えますと、住民が株式を買った株主のようなものに例える事ができます。そうすると議会は株主総会となります。

 中央政府の場合には、内閣総理大臣以下が議会で選ばれますから、株式会社と同じようにそこから企業を、企業執行のトップから始まって取締役まで選ばれるという構造ですから、ある意味では議院内閣制の下での政府と形が似ているのかも分かりません。

 地方自治体を比喩的にいうと大統領制です。または、二元代表制です。つまり、議会も直接、住民から選ばれる。トップ(株主から選ばれる)もそれとは別に住民から選ばれます。 

 選ばれた方(株主から選ばれる)は、お互いがお互いの役割を果たしながら、ガバナンス・経営をしていくのが本来の地方自治体ですが、どうもそういう意識は、住民も、議会人も含めて甚だ少ない状況です。

 自分たちが経営の一角に参画して、それも株主の、住民の付託を受け、経営を、特に最高意思決定を議会で行う。そのことに基づいて、執行させるという意識が甚だ弱いのが今の日本の民主主義、地方自治の実態です。

 今、問われていることは、現在の公共サービスとして行っていることを、国家や自治体の財源や税源や国民の負担という観点から考えた場合に、現段階のサービスの質と量がこれでいいのかどうなのかという事です。

 地方のガバナンスの問題は、まさに税金を払うという株主的な立場のみならず、選んで自分達でやるという意思決定に何らかの形で参加できるというのを、我々がどのように位置づけるのかというが次の問題になってきます。それでは、西尾さんにマイクをお渡ししますどうぞ宜しくお願いします。

西尾真治:皆さんこんにちは。先程、ご紹介頂きました三菱UFJリサーチアンドコンサルティングというシンクタンクで研究員をしています西尾といいます。併せて早稲田大学のマニフェスト研究所でも客員研究員をしていまして、普段、ローカルマニフェストについて、研究または、実践活動をしています。

 今、仙谷先生がご説明された問題意識を私も持っていまして、このテーマに取り組んでおり、今日は、地方議会をテーマに挙げて話をしますが、この地方議会の政策という面に着目をして研究をしている研究者、あるいはシンクタンクは皆無に近いといっていいと思います。

 まさに日本の中央政治から地方議会というものが軽視されている、あるいは機能していないという事と対応していると思いますが、シンクタンクにおいても、そこにマーケットが成立していないというのが現状です。

 今日は、大きく前半と後半に分けて2部構成という形で進めたいと思います。まず前半は、基礎編としまして、ローカルマニフェストとは何かという所を紐解いていこうと思います。

 国政におけるマニフェストに対して、地方政治におけるローカルマニフェストがありますが、これはどんな事を意味しているのかという事と、それを踏まえローカルマニフェストが登場した事により、今、地方政治や地方行政が大きく変わりつつあります。今後このローカルマニフェストが普及した時に、地方議会、地方議員がどのような役割を果たすべきなのかというあり方について前半でやっていきます。

 後半は、実践編ということで、地方議会、地方議員がローカルマニフェストということをどのように扱っていけばいいのか、どのように作成して、活用していけばいいのかということを、具体的な事例を紹介しながら話を進めていきたいと思います。

 最後に、地方議会の機能が高まってくると、立法機能を果たしていく。地方政治の中で法律、条例を作っていくところを議会が担っていく、役割が広がっていくということで、地方議会、地方議員における条例作りというところに話題を移していきたいと思います。

前編 ローカルマニフェストとは何か

マニフェスト型選挙による候補者と有権者の緊張関係

 マニフェストというのは、簡単に言えば明確な公約ではないかと思います。マニフェストと公約の違いをよく問われますが、明確であることが一番の違いであると思います。

 明確といっている意味は、必ず実行することがあり、具体的で誰もがわかりやすいものであることです。そして、十分に実現できることが、体系的にセットであることです。こういう要素があると明確になってきます。

 重要なのは、明確になると、あとから約束が守られたかという事が十分チェックできる事です。事後検証可能といいますか、後からチェックが可能になるということが、従来の曖昧な公約との違いです。

 例えば、「子供の教育に力を入れます」というのは従来型の公約です。子供の教育に力を入れることは分かるのですが、どうやって、どのくらい力を入れるのかというところが曖昧です。

 この従来型の公約は、後からこれを守ったのかということを検証ができないと思います。これが、マニフェスト型になるとどうなるかといいますと、「2年後までに全ての学校を30人学級にします。そのために○○の予算で独自の教員の採用をします」。さらに3つ目が重要だと思いますが、「その為に○○の道路をあきらめます」、つまり、いつまでに何を目指すのかという期限と数値での目標を、明らかにする事です。

 加えて、その財源をいくら使って、どういう手順でやっていくのかという工程(ロードマップ)や、さらに何か新しい政策をやる為に財源が必要になれば、他の政策をあきらめなければ財源が捻出できないということになりますので、財源をどこから捻出してくるのかという財源の見通しまで書いていきます。こうなりますと「子供の教育に力を入れる」という具体的な中身が分かりやすくなりますし、後からそれが達成したかということが極めて明確に検証、チェックができます。 

 つまり、従来型の公約が曖昧だったのに対し、マニフェストは明確であり、体系的になっています。もう一つ例を挙げますと、「○○市の明るい未来を築きます」というこの公約も、極めて曖昧だと思います。

 例えば、この「明るい未来」というのは、候補者が赤字のないことを「明るい未来」と捉えているのです。赤字を減らす為に、市の直営事務を委託していく、そのことにより市の職員を減らしていくという事なのです。

 やはり、この4つの基本要素である、期限、財源、数値目標、工程を明確にしていくことによって、公約で目指す中身が明確になると思います。

 こうなりますと、マニフェストは明確な公約という事なのですが、実は公約というのは公の約束ですので、約束が明確であるのは当たり前ではないかなと思いますし、約束をしたことが、何を約束したのか分からないのであれば、約束にはならないと思います。

 今までは、当たり前のことが当たり前ではなかった。本来、公約とは明確であるにも関わらず、今まで明確でなかったので、マニフェストによって問題点が浮き彫りになってきたと思います。公約というものが、今までは、曖昧という異常事態でしたが、これが明確になってくると、どのように政治や行政が変わってくるのかという問題です。

 マニフェストで何が変わるかといいますと、端的にいえば政治が変わり、選挙が変わります。今までは、選挙を曖昧な公約で曖昧にやり過ごしてきたと思います。そして、当選した後に、具体的なやり方を決めてきました。

 後から具体的なやり方を決めていきますので、首長さんや知事さんが、後から勝手に決めていく、あるいは役人の言いなりで勝手な事が決まってしまうとか、あるいは利益誘導とか、政治的圧力などに発展します。つまり、市民から遠く離れたところで政策が決まってしまうというのが、今までの曖昧な公約に基づく政治、選挙だと思います。

 ところが、マニフェストで明確な公約になってきますと、選挙の時点で具体的なやり方を決めるという事になります。そうしますと、当選後に、選挙の時に約束した事、決めた事を約束通りに実行していく政治になりますので、実は選挙時点で市民が政策を選ぶ事になると思います。

 そうなりますと、官僚・役人は、選挙によって選ばれた政策を実行していきます。よく役所の事を執行機関といいますが、まさに決められた事を執行していくのが、役所の役割という事が明確になっていきます。そうしますと、後で勝手な事ができなくなりますので、政治的圧力や利益誘導というものも、排除しやすくなってきます。

 つまり、市民が選挙のときに政策を選んで、市民が選んだ政策が確実に実行されていく、というふうに大きく変わります。さらに、それを市民が、事後にチェックする事ができる。これが、マニフェスト型の選挙に特徴です。

 選挙については、今後4年間の政策を選ぶことになりますので、4年間はそのときに決まってしまうという事になります。そうしますと、候補者は、真剣にその約束・政策を決めていかなければなりませんし、市民の側も、下手な政策を選んでしまうと、それによって4年間が無茶苦茶になってしまう可能性がありますので、真剣に政策を吟味しなくてはいけなくなります。

 このことにより、候補者側と有権者側双方に、責任と緊張が生じてくると思います。その1つの表れが、公開討論会です。選挙の時に候補者が何を訴えたいのかという事を、事前に直接聞いた上で投票したいという動きが広がりをみせています。

 政治においては、市民が選んだ政策を実行していくという事になりますので、結局は、市民が自ら政策を決定していく事となります。さらに、自分が決定した事の結果については、自分で責任を負っていくということになります。

 地方分権、地方自治においては、自己責任、自己決定が言われますが、まさに自治の世界では、市民による自己責任、自己決定ということが明確になっていくことが、マニフェスト型の政治になっていきます。市民の責任がより重要になり、今までのような「お任せ民主主義」や「観客民主主義」という言葉で言われる民主主義では成り立たなくなります。

マニフェストサイクルとPDCAサイクル

 マニフェストサイクルという言葉があります。選挙の前の段階に候補者がマニフェストを作成します。

 選挙を経て、住民によってその中から一番良いものが選ばれて、それが実行され、任期の4年間が終わると、4年間の取り組み評価をして、そして評価の結果を次のマニフェストの作成に生かしていく。さらに、評価をして次に生かすということで、改善がされるということです。このサイクルがグルグル回っていきますと、政治の質が向上するという考え方です。

 民間の経営でもPDCAサイクルというものがあります。(:Plan−Do−Check−Action)この自律的な改善のサイクルを政治の世界に持ち込む事ができるというものもマニフェストの特徴です。さらに、これを政治の世界だけでやるのではなくて、住民がそれぞれの段階で関わりながら、このサイクルをまわしていく事が重要ではないかと思います。

 マニフェストのサイクルを政治家だけに任しておくのではなく、そこは住民がコミットメントしていく。そして実行段階でも住民がチェックの目を光らしていく。評価の段階でも同じです。このマニフェストサイクルができるということと、このサイクルの市民がどんどん関わっていくようになるということが重要であると思います。

 住民側と政治の関わりが深まっていく事が、このマニフェスト政治の大きなポイントかなと思います。このような基本的な理解の下で、仙谷先生からも指摘がありました国政と地方政治の違いについて、視点を移してお話をしていきたいと思います。

 先程のマニフェストの話は、国政でも地方政治でも、ある程度共通して言えることができると思いますが、もう少し細かく見ていきます。国政のマニフェストとローカルマニフェストは大きな違いがありますので、その違いについて把握しておく必要があります。

 本来、イギリスがマニフェストの発祥といわれています。政党間で内閣を取り合う議院内閣制において、政党が作るマニフェスト、パーティーマニフェストといいますが、これが本来のマニフェストといわれるものです。しかし、住民から見て遠い国政ではなく、身近な地方政治でマニフェストを活用しようというのが、ローカルマニフェストです。一番の違いは、政治制度の違いです。

 国政は議院内閣制ですが、地方政治は、二元代表制、首長制、大統領制ともいわれている制度の下で行われています。マニフェストの前にローカルという言葉がついていますが、この「ローカル」の意味は大きくいえば2つあります。

 1つは、地方で活用するという意味で、地方という意味でのローカルです。これは後ほどご説明しますが、二元代表制の下でいかにマニフェストを活用するかということです。もう1つ重要な意味とは、ローカルという意味が身近な住民自治という所で活用できるのではないか。

 政治・行政に対する住民参加、住民協働を促進していく意味でも、このマニフェストが活用できるのではないか。地方政治における活用、住民自治における活用と、この2つが大きく国政のマニフェストと違う点です。

 これは、国政の議院内閣制と、地方政治の二元代表制を用いた話です。国政の場合は、衆議院、参議院がありますけれども、基本的には選挙によって最大与党になった政党が内閣を構成し、その中から内閣総理大臣が選ばれます。基本的には、議会と内閣が一致する所が大きな特徴です。

 それに対して、地方政治は二元代表制です。トップの首長、知事、市町村長を住民が直接選挙で選び、さらに議会の議員も直接選挙で選びますから、2つの代表がそれぞれ独立して選挙で選ばれる、または、2つの代表がいるという意味で二元代表制といわれています。

 二元代表制ですが、先程のPDCAサイクルを少し思い描いていただければと思います。最初に、planという計画で予算や条例案を作るということになります。それを機関決定、意思決定を行い、議決していきます。その議決した事を、実行に移します。これはdoの段階です。そして最終的には決算を評価(Check)して、次のplanに移っていく。

 こういったPDCAが回っていくのが地方政治の中でも行われていますが、地方政治の場合、これが、2つの代表によって権力を分け合う形で進んでいくのが特徴です。

 計画及び実行、執行の役割を担うのが、行政です。行政のトップが、首長です。一方、決定及び評価を担うのが、議会という事になります。つまり、首長が計画を作るのですが、議会で承認されないと、実行できないという事になります。

 議会は決定をする機関ですが、実際に実行するのが執行機関です。議会の直接実行は出来ません。執行機関は施策を実行しますが、実行後の評価は議会が行うということで、この計画、実行、決定評価を分けて、2つの機関で抑制均衡を働かせながら、より政治の質を高めていくというところが、二元代表制の特徴です。

 首長を選ぶ際には、首長マニフェストが発生します。一方、地方議会議員においても選挙で直接選ばれるという事で、こちらも、議会マニフェストや議員マニフェストが発生します。

 議院内閣制においては、パーティーマニフェスト、政党によるマニフェスト1本ですが、二元代表制におきましては、首長、知事におけるマニフェストと、地方議会におけるマニフェストの、2つマニフェストが存在します。

地方選挙におけるローカルマニフェストの浸透とマニフェスト型公開討論会

 これを受け、同年の11月に行われた総選挙でも、マニフェストが政党によって本格的に導入されまして、「マニフェスト選挙」と呼ばれる選挙になりました。同年には、マニフェストが流行語大賞に選ばれ、一気に大衆に認知されました。2004年の参議院議員選挙、昨年の総選挙、2度の国政選挙を重ねまして、ほぼこのマニフェストが定着してきたと思います。

 今、ローカルマニフェストは、市町村長の選挙においても広がりをみせています。ローカルマニフェストの実態を調査したものがありませんから、私どもの研究会の方で、昨年、アンケート調査を実施しました。

 全国の都道府県、市町村に発送しまして、市町村から836通の回答がありました。この結果、既にローカルマニフェストを導入している市町村は、既に3桁に上っています。市町村においても、マニフェストを導入している市町村が、増加しているという状況です。

 さらに、選挙の際にマニフェストを掲げる事により、ローカルマニフェストを掲げたけれども当選しなかったというケースは、殆どありません。選挙の時点で、ローカルマニフェストを掲げると、大変強いという実態があります。

 今やマニフェストは、選挙において「標準装備」になっています。都道府県に分けて調査してみますと、若干、東日本においてマニフェストに普及率が高い事が分かりました。やや西日本は少ない状況です。しかし西日本で特徴的なことは、九州での普及率が高い事です。

 選挙におけるローカルマニフェストの効果が大きいということで、公開討論会が増えてきているという話を致しました。今、九州において大変活発になっています。日本青年会議所が全国で活発に取り組まれていまして、既に全国で1000ヶ所開催されていますが、その中でも九州地区が一番活発です。

 平成16年12月、福岡県八女市で初めてローカルマニフェスト型の公開討論会が行われました。人口が3万9000人の都市で、1500人の聴衆がありました。この時は合併に伴う選挙で、旧市の現職の候補者と、無名の新人候補者が一騎打ちになりました。ふたを開けて見ますと、無名であった新人候補者がダブルスコア以上の票を取って当選しました。

 この新人候補者は、住民集会を繰り返しながらマニフェストを作り、これが功を奏したのではないかと分析されています。投票率にも、成果がありました。前回の投票率と比較しますと、12ポイントも投票率が上昇したという事例があります。

 さらに福津市の選挙ですが、ここでも600人もの聴衆がありました。九州では、数百人から1千人規模の公開討論会が開かれているという状況です。

 平成17年4月に柳川市長選挙がありまして、旧柳川市と大和町の大きな市と小さな町の合併でしたが、人口規模が約2倍以上の旧市長を旧町長が破るという事になりました。これも旧町長が具体的なマニフェストを示して、公開討論会を開き、1400人が参加する中で行われました。

 小郡市長選挙でも、新人候補が、現職候補を破るという、こういった従来では考えらなかった「地盤・看板・かばん」という部分ではない、候補者の政策、あるいは人間力で決まっていくという、選挙結果が見られます。

 山川町では、人口5622人中600人の方が、公開討論会に参加しました。これには、人口の10%の参加がありました。大川市長選挙は平成17年6月に行われまして、1700人が参加しました。これも、無名の新人候補が、大差をつけました。

 このあたりから、公開討論会及び選挙も進化をしています。大川市では、マニフェストと公開討論会の議事録を、青年会議所のホームページで公開しました。当日、公開討論会に参加できなかった人は、ホームページでマニフェストも読める事ができるし、当日の議論の内容も把握ができるという進化をしています。

 福岡から九州全体に広がっているということですが、熊本県の八代市では、市の広報誌に各候補者のマニフェストを織り込んで、全戸に配布をしたという取り組みをしました。また、ホームページで公開討論会の模様を動画で配信をするということで、かなり有権者に、各候補者の政策や、人柄も届きやすいような条件が、整備されるようになりました。

 他にも、鹿児島県も含めて九州全体に、こういった数百人から1000人規模の公開討論会が開催されています。なぜこれほど九州で活発なのかという理由ですが、九州推進ネットワークという団体があり、非常に頑張っています。

 実はマニフェスト型の公開討論会には、非常に大きな課題があります。候補者の方の皆さんがマニフェストを掲げていればいいのですが、マニフェストを掲げている方と掲げていない方がいれば公開討論会は成立しないという問題が起こります。

 仮に掲げられていたとしても、掲げられたマニフェストに差があると、公平な条件での公開討論会が実現しません。ここで頓挫してしまうという問題があり、全国的にマニフェスト型の公開討論会が実現しにくいという状況がありました。しかし、九州の場合、そこを工夫しまして、事前に公開討論会用のフォーマット・書式を用意しています。

 「あなたの基本理念は何ですか」、「現状をどう認識していますか」、「どのような姿を目指しますか」、「優先度の高い順番に重要な施策を順番に書いてください」という記入する欄があります。特に争点になりそうな政策課題については、より具体的に内容、事業、事業費、財源、手段という記入する欄が用意されていまして、この書式に従って各候補者が記入をしていきますと、事前にマニフェストを考えていなかった候補者も、政策を真剣に考えさせられます。さらに、その政策を市民の前で発表させられるということになります。

 九州の方は、「候補者を公開討論会までに鍛え上げていくのだ」という言い方をされています。

マニフェストにおける行政の変化と知事の任期に即した戦略的な基本計画

 今まで、選挙における変化をお示ししたのですが、行政の運営、経営のあり方も大きく変わっています。行政の運営が、政治主導の行政に変わっています。

 今までは、国で決められた事を決められた通りに執行していくのが地方行政の運営でしたが、現在の財政状況が厳しくなる中で、限られた財源の中で非常に多様化するニーズに応えていかなければいけません。

 いわば民間企業に近いような経営が求められているという時代であると思いますが、その戦略型の経営に、行政がシフトしています。マニフェストを導入した首長における自治体では、より端的にその状況が表れています。

 行政運営の事については、地方自治法に定められています。基本構想を大体15年から25年の非常に長期にわたる計画・基本構想を自治体は立てまして、それに基づいて基本計画・実施計画にブレイクダウンさせて、実施していくことになっていますので、非常に総花的な計画に基づいた執行となっています。

 基本計画の期間の捉え方が、変わってきています。なぜかといいますと、4年間というローカルマニフェストの任期にあわせた戦略的な計画になっています。

 知事や首長の任期は4年ですので、任期の4年で何をやるのかということが、計画の基本になります。15年や20年といった長期構想ではなくて、この任期の中で何を計画・実行していくのかという基本計画のタームが、4年、ないしは当選した1年目で計画を作りますと、残りの任期3年で何をするかという単位で、今、計画が作られ始めています。

 神奈川県の松沢知事の事例ですが、今までは神奈川県は総合計画を10年単位のタームの計画を作っていましたが、松沢知事は就任後1年で非常にスピーディーに確定を行い、残りの任期の3年間で実施計画という形の計画を作りました。

 当然3年間の計画であるとできるものと、できないものが出てきますので、まさにやる事だけを絞った51本のプロジェクトに基づく戦略的な計画になっています。私がこの手法を優れていると思う理由は、毎年目標値を明確に設定しまして、その達成状況を年次レポートと言う形で公表していきます。なかなか達成状況をきちんとチェックして公表していくということは、今までの行政にはなかなか見られなかったことだと思います。

 次に宮城県の栗原町の例ですが、総合計画は、長期計画に基づき、国の政策動向を見据えながら総花的に作ることでしたが、やはり首長の任期の期間に何をするかという事になると、トップの意向を十分に反映して計画を作っていくということが重要になりますので、市長のトップインタビューを重ねながら策定していくという事例もあります。

 それから、組織面も変わってきています。いわゆる「コミットメント」という考え方です。日産自動車の経営のあり方で話題になりましたが、会社が目指す戦略目標を各部局で「じゃあそれはどんな部局として置き換えるのか」という目標をブレイクダウンしまして、その部局の目標を部局長が自分の目標としてコミットメントしていく、それを達成すればそれに対して評価していくという考え方があります。

 これが、今、まさに行政の中に取り入れられ、始まっています。これは福井県の事例ですが、「福井元気宣言」というものがあります。

 知事としてこの4年間に実現したい戦略目標が、明確にマニフェストに書かれています。その目標に対して、ここに部局長の名前が入っていますが、その担当する部局ではどのような目標を立ててその首長・知事の目標を実現していくのかということを、各部局長自らに策定をしてもらうということをしています。

 「政策合意」と呼んでいますが、各部局長ごとに「政策合意」の文章を書いています。部局ごとに「何を目指すのか」という基本姿勢や、具体的な取り組み項目、何に取り組み、その目標として何を目指すのかというものを、具体的に数値で示すということをやります。そして、知事の名前と各部局長の名前を直に出して、それを県民に向けて約束をするという形です。

 これをホームページで公開していますので、部局長は自分の名前で約束をした合意文章を、県民に向かって全部公開されているという、非常に高い緊張感の中で、1年間過ごしていかなければならないということになっています。これは、1年経った後には、取り組み結果を全部コメントして自己評価をして、その結果もホームページで公開されます。

 こういったコミットメントの取り組みはだんだん広がっており、山形県や大分市でも同様の事例がみられます。倉敷市の古市市長は、マニフェストの中で、従来の行政では範囲としてこなかった、金融政策のマニフェストを掲げました。

 このように、従来、行政が特質としてこなかった分野のマニフェストを達成する為には、民間から専門性を持っている方を責任者として中途採用して実現していく。いわゆるポリティカルアポインティー(=政治的任用)に近いような事も、地方の現場では行われ始めています。

外部評価と地方議会の意義

 もう一度マニフェストサイクルをご覧いただきたいのですが、地方政治の場合、4年間が基本的任期です。選挙を基点とした大きなマニフェストサイクル、4年間の大サイクルです。

 これが一つのサイクルとしてあると同時に、この実行段階は1年ごとに予算化・実行・評価という小さなサイクルを回していきますので、地方におけるマニフェストサイクルは、選挙を基点とした4年間の単位の大きな大サイクルと予算化を中心とした1年単位の小サイクルと、これを組み合わせたサイクルとして考えるべきだと思います。

 そうしますと今、初めてマニフェストが地方選挙に導入されたのが平成15年で3年目を迎えますので、来年を迎えますと丁度4年間の大サイクルが1回転するということになります。次の統一地方選挙では、地方政治におけるマニフェストサイクルが、今後うまく機能していくのかを占う、非常に大きな試金石になっていくかと思って、注目すべきであると思います。 

 さらに特徴的な取り組みとして、年次報告があります。これは民間企業では当たり前のことですが、いわゆるアニュアルレポートといわれる年次報告書を、毎年、毎年、その年の達成状況を外部に公表していくという取り組みが広がってきています。

 このことによって、任期の途中の間でも改善が行われていく、達成状況が悪いものについては見直しが行われていくというサイクルが、4年間の中の小さな1年のサイクルの中で行われ始めています。より実行する体制が整い始めているという状況です。

 これは一例で岩手県の事例ですが、岩手県では40の政策目標があるのですが、これを星の数で達成状況を示し、さらに柱ごとにまとめた総合評価もしているという状況です。こういう形で現在、非常に県民の方にとって分かりやすいように工夫している所も特徴です。

 ところがこのような県民向けには分かりやすく示すのですが、この裏では、非常に緻密な評価作業が行われています。これは神奈川県の事例ですが、政策目標ごとに達成状況のバックデーターを示しています。達成できなければ、「なぜ達成できなかったのか」という理由の分析も、非常に細かく行政の中ではやっています。これは、行政評価と連動する動きも見られています。

 この評価という点で、さらに特徴的なのは外部評価です。やはり、行政が自己評価しているだけでは、お手盛り評価だという見方がされてしまいますので、特に県民や有権者に対して直接マニフェストで約束したことですから、県民に対しても評価結果を公表していくとなると、県民にも直接評価してもらうということになろうかと思います。

 福井県の例ですが、知事が、行政を自己評価した上で、有権者2000人を対照にアンケートを行い、達成状況について評価を聞いています。さらに外部評価委員会を作りまして、外部からの評価を受けています。自己評価と県民アンケートの評価と、それから外部評価委員会の評価の3つを並べて全体の評価をしています。

 それから犬山市の事例ですが、評価結果を市の広報誌に載せて、全戸に配布しています。ホームページに公表するという限られた公開ではなく、全戸、全市民にも届くような工夫も始まっています。

 今の行政の中では住民と直接結びついて、それを背景として首長の強力なリーダーシップによって、地方の政治・行政が進められています。

 選挙の時点で、マニフェストで約束をして、その結果を住民からの直接の評価を受けながらきちんと公開する事によって一定の規律を担保しつつ、強力にリーダーシップを発揮していくと、地方議会の存在意義はどうなってしまうのか。まさに、地方議会の存在意義が、問われている状況ではないかと思います。

 今、首長がマニフェストを活用する事が先に進んできていますが、首長がマニフェストをフル活用するようなマニフェスト時代において、地方議会はどんな役割が求められていくのか、というところに移りたいと思います。

 二元代表制という政治制度で運用されていますから、首長という一方の代表が非常に力を強く持つ事になりますと、それはもう一方の代表も力を強くしていく必要があり、双方が抑制均衡することによって権力乱用の阻止になります。首長の力が強くなれば、地方議会の力も強めていき、対抗していくことが望ましいと思います。

 但し、それを望んでいくのは、住民の福祉の向上、住民自治の向上という分脈において、地方議会が力をつけていくというのが前提です。ただいたずらに地方議会の権力を強めていけばいいということではなくて、やはり住民の福祉向上に向けて建設的な意味での首長との抑制均衡の機能を果たす事を目指す中で、地方議会の力を強化していくという事だと思います。

地方議会の強化すべき機能とは監視機能と立法機能である

 地方議会が強化すべき機能とは、大きく2つあります。1つが監視機能、もう1つが立法機能です。

 監視機能というのは、首長や執行機関をチェックしていく事です。これは従来から地方議会の重要な機能として言われてきましたが、実態はオール与党体制と揶揄されますが、ほとんど議会としてのチェック機能が果たされてこなかったというのが実態です。ただ、これからは、首長側が力を持って行政を執行していきますから、やはり議会側の監視機能も見直されるべきだと思います。

 もう一方の重要な点が立法機能です。つまり、地方議会は、単なる議決機関、監視機関ではなくて、地方自治法上、議事機関と呼ばれていますが、政策を立案していくという機能も議会は担っています。

 しかし、今までは政策を立案する、条例を作るということが議会側から行ったという事例は殆ど皆無に近い状況でした。しかし、これからは、地方議会側からも政策立案、条例制定をやっていくべきだろうと思います。

 地方議会は、監視機能と立法機能を高めていかなければならないと思います。まず監視機能ですが、基本的に議会における監視の対象というのは、マニフェストを掲げた首長が当選して、それが行政計画に置き換えられてから以降です。

 マニフェストは、あくまでも政治家の私文書ですので、これが議会の対象になるのは公文書になってからです。少なくとも首長が、施政方針演説等で自分の掲げたマニフェストを今後の行政運営の基本にしていくというように唱えられれば、公文書になります。さらにいえば、具体的な行政の計画になり、予算化すれば、それは議会のチェックの対象になります。

 行政計画化したマニフェスト、あるいは予算化された政策、これがいわゆる事前のチェックになります。そして、執行された後には、事後のチェックになります。議会による監視というのも、実行される前の政策立案段階のチェックと、実行された後の実施段階のチェックの、この2つのチェック機能があります。

 既に、監視機能に繋がる事例は、いくつか挙げてきました。松沢知事と神奈川県議会ですが、これは知事自体が少数与党という関係もありまして、知事いじめという背景もありますが、議会の中で知事のマニフェストへの質問が活発化しました。

 これは、神奈川県議会が初めてといわれていますが、総合計画が都道府県の場合、議決となっていないのですが、これを条例で定めて、県議会の議決事項にすると共に、議会の中に特別委員会を設置して、総合計画に関して検討していく事が、県議会で始まっています。

 岩手県の事例ですが、岩手県では、各会派でマニフェストを作成しています。これは、前回の統一地方選挙から始まっています。それを基に、自分達の会派としてマニフェストを評価、それに照らして、知事のマニフェスト評価を実施しています。

 横須賀市議会の事例ですが、これは超党派でマニフェスト推進委員会を設置しまして、この議員で集まった委員会で、知事のマニフェストをチェックしていくといった動きがみられます。

 一方、立法機能という点ですが、議員提案による条例制定と端的にいえばそうなりますが、実は地方自治体の条例は、首長が出す条例と議員が提出する条例の2つに分けられまして、議員提出の場合は、議員定数の12分の1以上の賛同、連署があれば、議員側から提出できる事になっています。

 ただ、今までの実績を見てみますと、議員提案の条例は、全体の中の5%といわれています。殆ど、あとの95%が、首長側、執行機関側からの条例の提案となっています。

 さらに条例の中には、議員側からの発案する条例は、議会の内部に関わる議員定数の問題とか報酬に関わる条例も5%に含まれていますので、事務的な条例を除いた純粋な政策的条例は、議員提案条例の中の1割というのが目安ですので、全体の条例の中の5%の内の1割ということになりますので0.5%となります。

 自治体の政策に関わる条例を議員側から提案して制定されているのは、0.5%に過ぎないというのが今の実態です。これは、あまりにも議会による立法機能を果たしていないのではないかといえます。

 これは、マニフェストというものでしっかりと住民に政策的な約束をしながら、政策立案、条例制定をしていくという事が、今後、議会に対して求められる事ではないかなと思います。少し長くなりましたが前半部分は以上です。

司会(乙井):ありがとうございました。それでは若干質疑に移らせていただきますが、これまでお聞きになって、どなたかご意見ある方いらっしゃいませんでしょうか。

質疑応答

中谷智司:中谷と申します。非常に興味深いお話をありがとうございました。私は住友金属という民間企業にいたのですが、一般企業においては目標管理制度というものが1990年代後半から導入されまして、2000年以降は社長が社員に対して当たり前のようにやってきました。

 どうして政治の世界では、2003年の統一地方選挙までこのマニフェストが当然のように言われてこなくて、現在においても都道府県においては50%ぐらい、市町村においては17%ぐらいしか運用されていないのですか。これは一体何が問題なのか、是非教えていただきたいと思います。

西尾真治:やはり背景として大きなことは、従来の地方自治体には、殆ど裁量権が認められていなかった事が問題です。実は、地方自治体というのは正式な呼び方ではなく、法律上は地方公共団体と呼ばれています。自治をする所ではない、政府ではないとされています。

 国で決めたことを、決められた通りにやる事が、地方公共団体の位置付けでした。昔、機関委任事務と言われてきた事務がありましたが、地方において、国から言われた通りにやらなければいけない事務というのが、大半を占めているというのが昔の状況でした。しかし、現在でもその名残があります。

 これは2000年に地方分権一括法が施行されまして、機関委任事務は全廃をされまして、非常に自治の裁量が拡大していますので、本来であればできるはずです。昔の名残で国の関与が残っている面はあるのですが、やる気があればできるはずです。

 そういう法制度的な背景と丁度あいまったと思いますので、マニフェストという形で約束をして実行していくということと、法制度的にできる可能性が広がってきたということで、やる気のある人で国との摩擦を恐れない人には、実行できると思います。ただ国の関与は残っていますので、それでなかなか難しいのかなと思います。

 ここで、マニフェスト型予算を紹介します。首長が、こういう政策をやりたいという事を公約に掲げて、当選をしてやろうと思っている政策があると仮定します。実際の今の殆どの自治体は、予算編成は首長がやっているというよりは、財政のセクションがあって、財政のセクションが決めています。

 じゃあ「これだけはやりたいから、これだけは盛り込んでくれないか」と、財政主導で首長からお願いするというのが、今までのやり方です。そうはいっても財政は厳しいですし、シーリングをかけていっても余地がないからできないというのが、今までの状況です。  

 それを打破する為に最近出てきているのが、マニフェスト型予算枠というもので、あらかじめマニフェストの政策を推進する為の枠を設定して、その枠については、知事や首長がやることを財政課から文句を言われるのを排除して、推進をしていきます。

 逆にいうと、こういう枠を設定しないとなかなか自分の思い通りの予算編成ができなかったというのが、今までの地方自治体の実情ではないかと思います。今は、だんだんそれが打破されている状況です。

仙谷由人:年功序列に基づく官僚制度というのは、国政でも地方政治でも非常に大きな問題です。業績評価が難しい問題であると同時に、業績評価が官僚の次の職、栄転・栄進に殆ど関係のない仕組みが担っている部分と重なっていると思います。

 会社の場合は明確に営業成績、つまり利益や売り上げをどれだけ出したか、収支決算でどれだけの利潤を出したかという事が、課長や部長の業績に出てきます。しかし、この公共サービスは、殆どそういう形では出てきません。今までであれば、あの人はこの有力者には評判がいいとか、悪いとかという業績評価的な事はありました。しかし、それは、必ずしも全般的な住民の業績評価ではありません。

 さらに、この官僚による業績評価を無視した構造の上、年功序列で行われますから、評価する時点で、評価される人がいない場合が多いのです。そこは、予算の単年度主義とも絡んで、あまりにも言いっ放し、やりっぱなしで終わっているのが今までの、特に霞ヶ関の政治です。

 地方自治や地方政治の方が、まだその分実態が見えます。首長の場合はその部分で評価されるのですが、日本でこの間4年、つまり選挙と選挙を二つ選挙した総理大臣は、小泉さん以外には殆どいませんから、どんな公約をやろうと、どんなマニフェストをしようと、次の選挙には総理大臣もいないし、役人もいないというようなことの繰り返しです。

 PDCAという言葉が先程出てきましたが、現在の霞ヶ関の中には、C以下はないと思っていいです。C以下が問われないから、霞ヶ関の予算でチェックの予算はついていません。つまりフォローアップする為の予算は全くないから、とにかくメニューを出して補助金を流せば、後は「野となれ山となれ」みたいな話が多いでのす。だからPDCAのCがないから次のA、アクションも当然出てこない。

 殆ど役所の文章で、「アクションプラン」や計画とか色んなものが出てきますが、もう横文字が出てきたら怪しいと思って見た方がいいです。つまり、今まで言ってきた事を横文字に言い変えただけの話で、あるいはちょっと外国で言われだした切り口で、今までと同じことをしているということが、殆どではないでしょうか。

 このマニフェストで最終的に重要なのは、住民や有権者が業績評価をして投票行動に移すかどうかという、ここまでいかないと本気でマニフェストを作ろうと思わないし、マニフェストを実行しようとしません。議員も有権者も、何故、実行できないのかという所まで、まだまだ来ていないだろうという感じがします。

中谷智司:議員や首長、知事の任期は4年ですが、評価に関しては、時期を短くするしかないのだと思います。1年に1回、首長が出すとか、地方自治体で働いている人が出すことが必要です。私が住友金属で働いていた時、評価の基準は年に1回でした。私は以前、キヤノングループという所で働いていたのですが、10日に1回、評価をされていました。結局は、期間を短くしていくしかないのでしょう。

仙谷由人:あまり短くしてもわけが分からない事になりますから、それは数字だけでは図れない部分が多いと思います。つまり、業績評価の多くは、税金を払っている人の満足度の問題です。ここが、他の世界と違うところだと思います。

中谷智司:企業であれば、そこはまさに社内サービスの部分であると思います。ちなみに、議員が掲げるマニフェストの実績評価は、自治体などは自分達で評価・チェックしている点がありますが、議員の場合は自分達で評価する事はあるのでしょうか。また、現在の議会と議会事務局との関係は、どのような状況になっているのか、もお聞きしたいと思います。

西尾真治:まだ現時点で、議会や議員のマニフェストを選挙の時点で掲げたのは、岩手県議会だけです。最近、奥州市の議員選挙がありましたが、そこではマニフェストを掲げて選挙をしました。現在ではそういう状況ですので、チェックというところまでは議会側には及んでいません。

 議会事務局の話ですが、事務局が機能している議会とそうではない議会は、かなり差が出てきています。先進的な議会では、政策的な条例を議員提案で作っているところが増えています。宮城県では、4年間で10数本の政策提案条例ができています。

 やはり先進的な議会は、事務局の補佐機能が強化されています。法令の担当者を置く場合や、宮城県の場合では、議員アドバイザリー制度を設けて、外部からの専門家に助言をもらうようなことを制度化するという事例が出てきています。

 地方制度調査会の答申も議会を取り上げていましたが、その中でも事務局機能の強化は取り上げられていました。議会事務局の強化の議論は、今後も進めていくべきと思います。

仙谷由人:この間、会派での取り組みにおける問題点や会派でこれをやろうという動きはありますか。

泉氏:現在の会派は、主義主張も違うし、単なるポストを獲得するだけの会派を組んでいるところに、問題があると思います。さらに会派での活動は、あまり活発ではありません。

 この仙谷塾に来てローカルパーティの話を考えてみますと、民主党や既存政党と議論しながら協定を結び、選挙の応援ができるのかなと思います。

 先程、おっしゃった中で選挙公約ないし、マニフェストを主張していくときに、住民の代表として委任されますが、住民から「君たちに白紙委任はしてない。選挙公約やマニフェストで言われていた事についてはあなたに投票したが、それ以外は言えないのではないか」と言われた時に、どのような考え方で進んでいけばいいのかという所を聞きたいと思います。

西尾真治:基本的に選挙で選ぶという事は、その選挙で約束したことについて委任を関係が作られると思いますが、それが全てではないと思います。情勢の変化などがありますし、その都度、対応をして調整をする事が必要です。それがむしろ議会側の担う役割なのかなと思います。

 チェックやバランスを担うのが議会だとすれば、マニフェストで掲げた事を基本とするにしてもそれ以外で対応しなくてはいけない点では、議会が特に積極的に関与していって調整を行っていくという事だと思います。

仁木博文:マニフェストの先進地の英国の事例について聞きたい事が2つあります。まず1つは、英国では選挙が近づくとどのような報道がなされているのか。2つ目には、候補者のそれぞれのマニフェストを個々の有権者がどれだけ認識して、さらには把握をした上で投票に移しているのかということのデーター等をお持ちでしたら教えて下さい。

西尾真治:英国の事例という事ですが、国政と地方選挙では状況が違います。英国の地方選挙は決しては先進事例ではありません。

 むしろローカルは、日本の方が世界的に先進事例になっています。実は、5月31日に韓国で統一地方選挙が行われます。今、韓国ではマニフェストブームになっており、日本に勉強に来ていますし、さらに、日本で行われている公開討論会なども韓国から取材に来たりしています。やはり韓国も日本のローカルマニフェストを先進事例と捉えていまして、日本を参考にしています。

 日本では、自己評価が、マニフェストにおいても甘いという見方がされている傾向がありますが、私が見たところでは、厳しい評価をしている事例が極めて多いと思います。

 特に、意識が高い首長が先進事例になっていますが、客観的に見て厳しい評価をしている評価が多いと思います。結果的に信頼を得られることに繋がると思います。

 自己評価だけではなく第三者評価、外部評価を導入している事もあります。

 地域住民による検証大会を、開催する事例もあります。大阪府枚方市では、市民の評価者を市民によって選び、さらに事前にマニフェストの勉強会を重ねて、市民評価者に評価をしてもらい、市長と市民評価者が壇上に立って市民に評価を受ける取り組みもあります。つまり外部委員を入れる事により評価が甘くなることを防ぐことに繋がると思います。

 有権者の投票行動における海外事例のデーターはないのですが、国内では、東北の新聞社である河北新報と早稲田大学マニフェスト研究所が協同で調査したものがあります。国政選挙と地方選挙において調査をして、「あなたは投票のときにマニフェストを重視しますか」という質問をしますと、6割から8割の有権者が「マニフェストを重視する」と答えました。ただ、実際どれだけマニフェストを理解していて、投票行動に繋がっているかというところはまだ不明な点があります。

 枚方市の事例ですが、なぜ市民を巻き込んだ評価大会を開いたかといいますと、市民に街頭で聞いたときに、殆どの市民が、市長がマニフェストを掲げて市政を運営しているという事を知りませんでした。マニフェストを研究している方々には有名ですが、市民には知られていなかったという理由から、多くの市民に理解してもらおうという事で企画されました。実態は、まだもっと低いと思います。

中谷智司:評価の仕方は、時間が経つにつれて解決すると思います。まだ評価制度が浸透していないと思います。企業で言えば目標管理制度ですが、政治の世界では、政治家が自己評価をして第三者が評価をするということですが、甘く自己評価していれば、ばれてしまうと思います。

 目標を低いレベルにしていれば全て100点ですから、目標の立て方と評価の仕方は、これから時間をかけて選挙を重ねていくうちに、政治の世界でもうまく回ってくると思います。多分、現時点では、そこまでいっていないと思います。

仙谷由人: 現象的に、地方議会と首長・行政との関係が、首長や知事が一切の口利きを公開した瞬間、個別の話は一切対応できないという行政の仕組みになった瞬間に、議会の方は「じゃあ我々は議会の中で住民の要望を実現させる方法としてはどうすべきか」という事になります。そうなりますと、住民の要望を普遍化して「条例にするしかない」という事になると思います。

 そういうところでは、条例化をしようとする動きが、県議会の、旧会派なのか、その辺が十文字に入り乱れてやっているのかまだ分かりませんが、旧会派を土台にしながらやってきました。

 今までは、基本的には、中央の諸官庁が作った補助金付きの事業のメニューを、どうやって首長が実現をしていくのか、その為に議会がどのように貢献していくのかという役割分担であったのではないでしょうか。

 だから会派が政策単位で形成されずに、人事の問題で形成されるのではないでしょうか。これからは政策単位といっても、昔のようにイデオロギー的に政策の幅が180度違う政策判断を住民に迫るとか、それを持って掲げるというのは少ないと思います。今では、地方自治のレベルにおいてのイデオロギーの開きは30度ぐらいではないかと思います。

 ただ問題は、財政、住民の負担の関係における事業の優先度の付け方が、会派によって違ってくると思います。そこで会派形成がなされるようにするとか、1人でも何人か説得して「この政策を実現させよう」「過去の条例を成立させよう」とか、旧会派を基盤としながら飛び越えて人数を集めていけばいいと思います。まさにそこが、今度は政策ではなく、政治の部分だと思います。

 国政よりも、議院内閣制でない分、政策そのものを、条例そのものを実現させるのは、かえって地方の方がやりやすいと思います。国政の場合は、どうしても権力闘争がありますから、この政策に賛成か反対かという事は、内閣信任か、不信任かという話に連動しますので、与党議員でも本当はこの政策に反対であっても、賛成せざるをえない部分があります。野党も一緒です。

司会(乙井):それでは後半は、具体的な部分を西尾さんにお話頂きます。その前に塾の運営ですが、第一回のご案内では読書会形式でしたが、党の方に事情を言いますと、先般、地域主権確立推進本部を立ち上げました。

 これは何をするかといいますと、民主党に公共政策プラットフォームというシンクタンクがありまして、これと連動して来年の統一地方選挙、参議院選挙に向けてローカルマニフェストを推進させる運動本部ができました。

 この中で、シンクタンクにおいて抽象的なものを抽出しつつ、党の方の方針を決めつつ、具体的にこういった政治スクールを通して、ローカルマニフェスト、議員提案条例を作っていこうということになりました。

 ですから、この塾も、漠然と議論をしてそういうディベートをしてブレークストーミングをして、皆さんの力を高めていくのも一つなのですが、何か成果物として、何か条例案として一つ捻出をしていただこうと思います。それで、今回導入として西尾さんに来ていただいた次第です。それでは後半、西尾さんにお願いします。

後編 議員版ローカルマニフェストの実践編

議会特化型マニフェストとビジョン型・政策型マニフェスト

西尾真治:後半で実践編として議員版のローカルマニフェストの作成、活用と議員提案条例の話をしたいと思います。

 最初に類型をしていきたいと思います。マニフェストとは、約束をする事です。議会として約束できる事を書くとなると、議会の事しか書けないのではないかという議論があります。議会改革について、自分達の事だから約束できる。これに限定したマニフェスト、議会特化型マニフェストがあります。

 「亀岡創生会議」という議会改革に特化したマニフェストがあります。しかし、議会改革だけのマニフェストでいいのかという議論があります。二元代表制の一方の住民の代表である議会が、地域のビジョンや政策の方向性も示すべきではないかと思います。

 もう一つ類型を挙げますと、ビジョン型・政策型マニフェストがあります。この類型は、首長が出すマニフェストと近いものになります。千葉県流山市にある新世会においては、政策型ローカルマニフェストが作られています。

 マニフェストの草案という形(バージョン1)で、最初に理念、ビジョンがあって、次に、個別の政策や、何を目指すのかを書いています。こうなりますと、「やります」といっても議会で実行可能かどうか、予算の編成権、提案権もなければ執行権もない状況で、議会が「やります」と言ってマニフェストに書いてもいいのか、という議論があります。

 ただ、首長選挙と議会議員選挙の時期がずれている場合は、現状の執行部、首長の取り組みや方向性について、中間評価的に議会・会派側から首長マニフェストに近いビジョン型マニフェストで提示していくという考え方はありうると思います。

 議員版マニフェストの内容ですが、首長の場合は行政範囲を網羅していくという網羅性が重要になってきますが、議会の場合は特定の政策課題に特化していく、一点突破的マニフェストでもいいのではないかという議論があります。

 いずれにしても、議会版マニフェストの内容にしても、議会には、執行権、予算編成権がありませんから、議会として何をしていくのかというプロセスを明確にしていくことが求められています。

 また、議会は合議体ですから、合議体として何かを実現するとなりますと、「多数派をいかに形成できる見込みがあるのか」という事が、実現可能性に大きく関わる重要なポイントになります。

 多数派を形成する見込みがあれば、条例を制定させる場合でも、自ら議員提案で条例案を出して、それを可決させる事ができますので、政策であっても、議員版マニフェストでもマッチすると思います。

 例えば、網羅的でなくとも特定の政策を実現させるということで、党派を超えて「この指とまれ方式」で政策に賛同してくれる議員を集めて、超党派の議連を構成して、その単位で約束していくことも可能です。

 議員版マニフェストの場合は、財政が論点となります。議会には予算編成権、提案権がない中で財源は書けないという指摘があります。政策の体系の中でどこにウエイトを置くかという事は、会派間で政策の違いを出していくには、特定の政策を出す事だけではありません。

 政策全体を体系的に出して、その体系の中でどこに重点的に財源を配分するかという事がセットで出されて、初めてその違いを提示することができます。首長マニフェストのように、体系的に財源を示すことが重要です。また、自らが予算を編成する立場にいなくとも、政策全体の中でどこにウエイトが置かれている事を示す必要があります。

 全体として実現可能な政策体系なのかを証明する意味でも、財源の記述は必要になります。作成主体では、個人・グループ・議会が考えられます。

 個人のマニフェストというのは、合議体の中では実現可能性は低くなります。あまりにも個人なマニフェストが乱立すると、政治の混乱をもたらしますので、あまり好ましくないというのが支配的考え方です。中心は、会派なりの政策集団が単位となって、そこでマニフェストを作ることが基本となります。

 その時に、政策集団を考えるときにローカルパーティの話もありましたが、地域の課題に応じてグループを作るという事は、必ずしも中央政党の枠組みとは一致しない可能性があります。

 ローカルパーティを、政治の分権化、政党の分権化と呼んでいる人もいます。ローカルパーティ、政治集団が重視されると、中央の政党との関係をどう考えていくのかということも大きな論点になってくると思います。

 議員版ローカルマニフェストの作り方ですが、千葉県流山市の新世会のように、住民との間にタウンミーティングを開催して、会派の議員と住民が同じテーブルの上で議論しながら作り上げていきます。

 議員版マニフェストの特徴を出していくには、住民の中に入っていって、住民のニーズを吸収していき、政策に反映させていく機動性を高めていくことが、首長マニフェストとの対峙した時の良さであり、メリットです。

 タウンミーティン方式や市民団体やNPOとの連携・政策協定を結んでいくという事が進展させると思います。さらに、今後は議員間・会派間の事前の政策協定が進んでいくと思います。

 議員版マニフェストの活用方法の論点を、お示ししたいと思います。先程、個人単位のマニフェストは厳しいのではないかというお話しをしましたが、ポイントは個人の違いを出したいというのがあると思います。地方議会は、地域の要望を抱えていると思いますので、こういう要望をどう扱っていくかが問題になると思います。

 これについては、一つの考え方として、必修科目と選択科目の考え方で、地域全体の共通の課題には共通のマニフェストを会派共通で作って、それにプラス個人が地域の課題を選択科目のように盛り込んでいく。この両方をセットにしていくことが、現在議論されています。選挙時に活用するのが最大の活用ですが、それ以外に選挙後の活用方法は考えておく必要があります。

 会派で目指す政策を逐一報告していく事によって、住民に対する説明責任を果たしていく。さらに、住民の方々からご意見を伺って、次の政策提案に生かしていく。新たなコミュニケーションの道具として、有効ではないかなと思います。

 今、新世会の試みとして、まだマニフェストを選挙の時に作ったわけではないのですが、素案を一個作りました。その素案について、この3年間、新世会は何をしてきたのかという進捗状況を併せて掲載して、それを住民に説明をしました。この事により、コミュニケーションに、とても役立ったという事例もあります。

 それから、このマニフェストは、首長・執行部のチェックの道具としての活用できます。当然マニフェストは自分達の約束ですから、自分達が約束を守ったかどうかを後からチェックをしていきます。

 同時に会派として「これが望ましいんだ」という方向性を示した政策集でもありますので、自分達が望ましいと示した方向性と現在の首長・執行部の方向性を突き合せていくことにより、首長に対してチェックできる指針、評価の軸としてマニフェストを活用していけると思います。

ローカルマニフェストの事例

〜(千葉県流山市)新世会と東京マニフェスト2005

 ローカルマニフェストの事例として、千葉県流山市の事例をご紹介したいと思います。流山市で新世会という会派があります。流山市の市議会の中では保守系の最大会派になります。最大会派ですが、過半数には達していない状況です。

 会派のグループとしてローカルパーティを構成していまして、会派としてのグループ=同じ構成メンバーでローカルパーティを構成しました。現行法制上はローカルパーティの規定がありませんので、千葉県選挙管理委員会に「任意(その他)の政治団体」として届けられています。

 地方政治が、法制度上明確に位置付けられていない事がここでも明らかですが、法制度上の政党の位置付けは国政の場合しかありません。政治資金規正法や政党助成金といった政党の経費は、国会議員何人以上という規定がありますが、地方政治の場合、法律上認められていない問題点があります。

 この新世会の最大特徴は、ローカル・シティ・カウンシル、議会版タウンミーティングを定期的に、年に4回開催しています。

 このタウンミーティングにより、住民と議論をしながらマニフェストを作成しています。これは、イギリスの労働党を参考にしています。イギリスの労働党は、1年かけてマニフェストの素案を作成し、もう一年かけてマニフェストを作るという2年サイクルで作るという方法です。

 このサイクルの中には分科会というのがありまして、この分科会で党内外からの意見、提案を受け付けるという政策作りの民主化を担保しています。時間をかけてステップを踏んで決めていくことによって、「党内の合意形成を図っていくこと」という意味があります。この2年間サイクルを回した2年後の党大会の決議で決定をします。

 イギリスの労働党の党大会では、95%の党員がそのマニフェストに賛成しました。いろんな意見を受けてマニフェストを作成する意味と、党内の合意形成を図ってから1年間のサイクルを2回まわすことが優れていると思います。

 これを参考に、新世会でも来年統一地方選挙がありますので、2年かけてマニフェストを作っています。今、1年目のサイクルが終わりローカルマニフェストの素案ができました。2年目のサイクルに入っています。

 マニフェスト作成の際の住民との意見交換会に、議員自らも足を運びます。しかし、この意見交換会には高齢者が多くて、なかなか若い人が少ないというのが現状です。多い時には、100名ぐらいの市民が来まして、有識者を講師に呼んで話を聞いたりしています。

 1年目の終わりになりますと、だんだん分野を絞っていきます。例えば福祉であれば、福祉をどうするかということになりますと、幾つかのワーキング・グループに分けまして議論をするということが始まっています。

 このワーキング・グループは、当然、新世会の議員がやりますので、こういう風景は一般的には住民団体やNPOに見られますが、住民の方に集まっていただいて議員がコーディネートをして、うまく住民の意見を調整していくスキル・能力が、地方議員に求められていく、新しい地方議員像かなと思います。

 毎回、同じアンケート調査をしていまして市民の意識がどのようにローカル・シティ・カウンシルによって変化していくのかということを見ています。ある種、科学的手法によって、自分達を客観的に把握しながらフィードバックしていくという取り組みがあります。

 新世会の作ったバージョン1は、進捗度が書かれているマニフェストとなっています。まだこれは、前回の選挙で出されてはいません。1年かけて進めたい政策を出しましたので、それについて現在の進捗状況を書き込んだ体裁になっています。これは、最初の類型で言いますと、ビジョン型・首長型が作るものと似ています。

 基本的な考え方は、市民と行政が協働でビジョンを目指していくことが、新しい公共の場という言い方をされますが、行政だけに任せるのではなくて市民も同じビジョンを共有して、できることから責任を分担してやっていくということが描かれます。これをサポートして、リーダーシップを発揮していくのが地方議員の役割ではないかと思います。

 地方議会は、行政に対し、質問をしたり、予算要望や議員発議をしたりして、行政に働きかけていくことができます。また、市民側に対しては、検討委員会を開いたり、タウンミーティングや市民の要望を政策に高めていき、場合によっては、市民も一緒にやっていくということをサポートしていくというビジョンを描いています。

 議会としてやれる事は、一般質問から議決までの段階ですが、上に行くほど強制力が強いということを整理しながら、どの手法を使って首長に働きかけて実現を目指していくのかというプロセス、手法を考えていく事が、議会版マニフェストでは重要ではないかと思います。

 もう1つの事例は、去年の都議会選挙で民主党の「東京マニフェスト2005」です。ここに特筆する点があります。1つはweb版で公開したという事です。紙版で配布したものもありますが、ホームページでマニフェストを公開していまして、より詳しい内容が載っていました。

 この掲げられた政策目標が、何故、掲げられたのかという事に関しての、バックデータや参考事例が載っていました。政策に関しての勉強ができる内容が入っていまして、さらにそれを踏まえて、都民の意見をパブリックコメントとして求めました。

 告示の1ヶ月前ですが、最初のweb版を公開しまして、2回意見を聞きながら反映をしていくという作業をして、告示の前にストップしました。マニフェストが、その都度変わっていく事にいろんな意見がありますが、住民をいかにマニフェストの作成段階、政策の立案段階に巻き込んでいくかという意味では、参考になるかなと思います。

 本来であれば、時間をかけて、住民を巻き込んで、いろんな方法で、政策の方向性、政策の形成段階が、ポイントになるかなと思います。住民とのコラボレーション。やはり議員は、住民のリーダーシップをとって協働で進めていき、街づくりを進めていくことが必要ではないかと思います。

 議会側が政策立案をやっていこうと思った時に、議会・会派は人為的に執行部と比べれば限られたものとなります。政策立案能力を高めていくためには、住民団体やNPO、地域団体と連携する事だと思います。

 

NPOとマニフェストの融合

 NPOは、非常に高い専門性を持ったNPOが出てきていますので、そういう専門性を生かしながら議会の政策立案能力を高めていく視点が必要です。

 先程、ローカルパーティの議論がありましたが、従来から、生活者ネットのような市民政党の流れはありましたが、最近の特徴は、保守系の会派でローカルパーティのような動きがあります。

 議会の少数勢力の小さな動きではなくて、場合によっては、議会全体を変えていける影響力のある勢力で、ローカルパーティ・政策集団の志向性が出てきたというところが大きな特徴かなと思います。

 また、最近の特徴は、NPOや市民側でマニフェストを作るという動きがあります。市民団体でマニフェストを作って、その使い方が大きく三通りあるといわれています。一つは、自分達の作ったマニフェストを各候補者に投げかけて回答をもらい、それによって投票の判断材料にするといった、「逆マニフェスト」と呼ばれるものがあります。

 二つ目は、自分達が作ったマニフェストを自分達の団体の中から、そのマニフェストを掲げて立候補をするということがあります。こうなりますと、マニフェストを掲げて立候補してしまいますので、これは政治団体化しますので、市民の中でも政策に関わっていくという事を突き詰めていくと政治との関係を考えなければいけません。

 そうなりますと、既存の政治団体と、NPOとの関係の融合が図られるのではないかと思います。現行のNPO法では、政治活動は禁止されます。これで果たしていいのかという議論がありまして、個人的にはNPO法の政治活動の禁止は取り除くべきだと思います。

 三つ目は、自分達でマニフェストを作って、このマニフェストを掲げて立候補する候補者を、公募するというやり方があります。

 これは青森県の弘前市で見られた事例ですが、この事例は、結果的には非候補者が見つからなくて、公認をあきらめました。ただ自分達でマニフェストをつくっておりまして、作ったマニフェストに賛同してくれる候補者を探して、その候補者に選挙の前に政策協定を結ぶ事としています。

 その候補者と市民団体との連名で政策協定を作り、市民団体は、協定を結んだ候補者を応援するという取り組みも見られます。NPOとの連携という中で、政策協定を結んでいくという動きが、今後出てくるのではないかと思います。

 ローカルパーティにおいては、法制度上の位置付けがないという問題点があります。公職選挙法において、マニフェストの配布ができないということで、これは首長選挙については認められるという方向性の話は聞いていますが、地方議会の議員は難しいのではないかと思います。

恐らく首長の確認団体、政党のマニフェストは、公職選挙法改正によって配布する事が認められまして、それに準じて、首長の確認団体という単位で認めていくという方向であるという事を耳にしています。

 そうなりますと、地方議会議員においては、まだ配布できないという状況が続きますので、この辺が課題になると思います。住民の中に入っていくという事が、改革の大きな方向ではないかと思います。

議員提案条例と地方自治法96条第2

 地方自治体における条例は、首長提出条例と議員提出条例に大きく分けられまして、議員定数の12分の1以上同意があれば、議員から提出できます。それをさらに分けると、これは正式な用語ではないのですが、政策的条例と、その他の条例があります。

 地方自治法96条第2項に基づくものと書かせていただいたのは、これは議会が議決する事項は自治法上限定されていまして、96条第1項の中に全15項目挙げられています。予算、決算といった議会で議決できるものが自治法上、限られています。

 逆に言えば、限られた15項目しか議会の権限は及ばないというのが、自治法上の位置づけです。ただここに、第2項がありまして、条例を作れば、条例によって議決できる事を増やすことができると書いてあります。

 議会の権限は限られていますが、条例を作れば権限は拡大する事ができるというのが、地方議会の定めです。96条の2項の定めを利用して、議決事項を増やしていって、議会として、権限の及ぶ範囲を増やしていこうという条例を作る動きがあります。これも、今後重要な動きになるだろうと思います。

 ただ予算編成、提案権、執行権は、首長に専権事項としてありますので、首長側がローカルマニフェストを作ることがふさわしいのではないかという議論があります。但し、首長が作って議会で否決されれば、それは実行できないという事がありますので、議院内閣制におけるマニフェストと比較すると、制約・制限があると思います。

 一方、議会には、予算編成、提案権、執行権がありません。この事から、マニフェストは作れないのではないかという議論があるのですが、逆にいうと12分の1の合意を経て発議をすれば、首長の意向に関わらず条例制定・提案する事ができるということになります。実は、法律上、議会の権限は大きい、といってもいいのではないかと思います。

 予算を含むものや、首長の執行権を過度に制限されるものは議会側から提案ができないということになっています。やはり多数派を形成して実行していくという道筋の目途が立てば、議会の権限は非常に大きいと思います。

 マニフェストを掲げて約束していく意味や、必要性は十分あると思います。これまでの議員提案条例の取り組みは、政策条例に限りますと0,5%しかないという状況です。

 平成12年の地方分権一括法の施行で、例えば議員提案に必要な定数が8分の1でしたが、12分の1に緩和され、権限強化の法改正がありまして、若干増加はしたのですが、ほぼ横ばいで推移しています。今までの状況では、議会自ら権限を行使することや、立法機能を発揮していく契機が現れていない状況であると思います。

 なぜ議員提案条例が必要なのかといいますと、首長発議の条例は、どうしても行政側でやりやすいものを、住民との意見交換、パブリックコメントで事後的に形式だけで行われる事が多いのです。さらにタテ割の弊害で、分野横断的な条例はできにくいというのがあります。

 裏返しになりますが、議員提案条例であれば、住民と意見交換をしながら住民視点の政策が立てやすいですし、政策形成段階での、いわゆるパブリックインボルブメントというような形での取り組みができますので、非常に広がりが期待できると思います。

 分野横断的な条例も可能ですし、執行側に比べてスピーディーな対応ができますので、やはり地方自治を高めていく上で、議員提案条例が活発になっていく事がいいだろうと思います。

 一応、条例が制定できる範囲は制限がありますが、最近ではその制限も緩和されていますので、条例制定の範囲は広がっています。これを一つのチャンスとして捉えて、改革していく契機に結び付けていくべき時期であると思います。

議員提案条例の事例

 最近、可決された議員提案条例の例を挙げますと、暴走族の取締りですとか、農山漁村の活性化、市町村になりますと、飼い犬の糞の話ですとか、生活環境といった、名前だけ見ると個性的な条例が多いかなと思います。

 行政の画一的な対応では、地域の細かな事情を拾いきれませんが、議員提案条例によって、うまく拾い上げて条例化して、対応していくという実態が見えてくると思います。事例として、江刺の条例ですが、「えさし地産地消推進条例」という条例があります。

 今は、合併をして奥州市となりましたが、岩手県の江刺市という所で作られた条例です。合併を控えていたという事もありまして、今後の地域の振興に危機感が高まり、地域の名産であるものを活かしていって、次世代にもしっかり伝えていきたいという目的で、議員全員で政策論議をしました。

 特徴的なのは、市民参加で農協の団体も含めて、市民各種団体との会合を30回以上開きました。議員が20名いますのでそれぞれ地域を分担して、全体の地域をくまなく市民の意見を聞いていくという事を行いました。

 こういった決め細やかな対応ができるのも、議会ならではないかなと思いますが、市民参加の会合を重ねていきました。それから、早稲田大学のマニフェスト研究所と連携しまして、外部機関との連携というものも見られました。

 岩手県議会の事例ですが、議会として議員条例を作るのですが、それに際してパブリックコメントを議会として行っているという事例です。やはり議会と住民・県民とのコラボレーションを密にして作っていくことが、議員提案条例の特徴ではないかと思います。

 こういったバックデーターも示して、県民の方が判断できるような材料を提供していく、さらには地域説明会も3回開催しています。こういう住民とのやり取りを重視して議員提案条例を作っています。

 これも同じ岩手県議会の事例で、先程とは違う条例ですが、当然パブリックコメントを出せば色んな意見が出てくるのに対して、責任を持って回答していくという事が発生します。実際、物凄い数の意見が来まして、それに対して、一つ一つ分類して「こんな意見があって、これに対してはこういう考えをしています。こういう対応をします。」といった事を表にして、ホームページに公開しています。

 地域を回っていくという事も大変ですし、その後のフォローも非常に大変ですから、事務は物凄く増えますが、これはある程度覚悟しなくてはいけないと思います。

 飯田市議会の事例です。最近、自治基本条例の制定というのが流行っているのですが、面白いのは議会提案でこの自治基本条例を作ったという事例です。

 住民の直接投票や自治基本条例というのは、逆に議会は非常に嫌う。自分達の議会の権能を侵されているのではないかという捉え方をする場合が多いのですが、飯田市の場合は、議会自らが自治基本条例を作ったという事例があります。

 ポイントになるのは、市民と一緒に会議を重ねて検討を進めてきたという点です。これも市議会一致で決まっていますが、3年かけて市民との間で自治基本条例の在り方を検討してきて、最終的には、市内20地区で地区説明会、1,364人の市民が参加をしました。

 市民とのやり取りを重視しながら、条例を作っていくという事例があります。三重県の県議会では、議会版タウンミーティング、県民と議論をしながら政策について検討していく。毎回有識者を呼んで、有識者の話を聞きながら議員と県民とで議論をするということを行っている所もあります。

 和歌山県の事例ですが、税金を取る条例を議会が作ったという最近話題になったものですが、税金を減らせという方向は多いのですが、税金を取るという課税自主権を議会が行使をしたということで、今後注目される取り組みだと思います。

 当然、税金を取るということですから、非常に説明責任が重要になってくるという事で、議会が一生懸命説明責任を果たしていったという事例が出てきています。

条例制定の手順と議員提案条例のポイント

 では、条例制定の手順は、どうしていったらいいのかという点をお話します。問題と原因の明確化をして、条例化の必要性の検討、序列制定においては色んな手法がありますから、その手法の中でメリット・デメリットの比較をして、対応策を具体化していく。

 この段階で事務局スタッフや、市民グループとの連携が必要であると思います。その上で条例案を作成して、必要に応じて住民説明会やパブリックコメントをして、条例案を作っていくといった流れで、作っていくことになると思います。

 宮城県の例ですが、議会内の調整プロセスは、議会運営委員会での会派共同提案の申し出をして、議会運営委員会から会派、政策担当者を出してもらってワーキング・グループをつくり、執行部とも適宜調整をしながら、議会運営委員会へ条例案を報告をして、議員提案に結び付けていくといった、議会内のプロセスが考えられるのではないかと思います。

 議員提案条例のポイントですが、住民に寄り添い、生の住民の声、住民ニーズと行政施策とのギャップがどこにあるのかという所を、突いていく事が出発点になるのではないかと思います。

 条例を作る事が難しいように思っているかも分かりませんが、今、全国の先進事例を簡単にホームページで見ることができます。私も行政側ですが条例案を作ったことがあるのですが、他の事例を参考にするとあまり法律的な勉強をしていなくても、かなりの物は作れると思いますので是非チャレンジしてみるべきであると思います。

 議会の中の調整も必要です。会派間の政策連携や、議連・委員会の活用もあると思います。第28次地方制度調査会の答申で、委員会からも条例を発議すべきだというものがありましたので、自治法改正の際には実現するだろうと思います。

 住民・NPOとの連携も重要です。住民・NPOとの政策連携や議会事務局の拡充、これは議会でまとまって執行側に要望すれば実現するとは思いますが、会派単位では難しいかもしれません。宮城県のように政策提案条例が増えている議会では、何らかの拡充がなされています。

 それから、議会におけるシンクタンク機能ということで、地方制度調査会が議会に附属機関を設置することを認めるべきだとしてありました。既に外部のアドバイサリー制度のようなものも設置している所もありましたので、シンクタンク機能も積極的に整備・活用すべきだろうと思います。そこで、政務調査費を今までのように曖昧に使うのではなくて、有効活用していくことが必要ではないかと思います。

 参考ですが、地方自治法96条の2項ですが議決事項の拡大ですが、多いのは都道府県の場合には、基本構想を議決しなければならないという自治法上の定めが、都道府県だけで市町村はありません。県政の基本となる構想を示す計画に、議会が関与しないのはおかしいのではないかという議論があります。

 各県、96条の2項を使って基本計画を議決事項に追加している例が増えています。基本計画に、議会として責任を持って関与していくものに対して、議決事項を拡大していくということを条例化している例が増えています。政策条例を作っていくことに併せて、議会として関与する責任の範囲を広げていくことも検討していくべきではないかと思います。以上で終わります。

司会(乙井):ありがとうございました。それではここまでのお話を聞かれていかかでしょうか。

 

質疑応答

 

武知氏:ベテラン議員であればあるほど、経験が豊富でマニフェストが作りやすいと思います。ベテラン議員と新人議員を比較すると、どちらがマニフェスト作成に抵抗があると思いますか。

 

西尾真治:どちらかといえば、ベテラン議員に抵抗があると思います。経験は豊富で、本来、ベテラン議員の方が作りやすいと思いますが、地方議員連盟を見ても大体1期目の方々が大半を占めているという状況です。そうなりますと、勉強が必要になり、やる気や志の高い人のほうが作りやすいと思います。

 

東條氏:現在の徳島県の財政状況は非常に厳しいものがありまして、税の問題で税収不足というものが大変深刻であると思います。

 そこで、税収不足を解消するような画期的な議員提案条例について、他県ではどのような事例がありますか。

西尾真治:議員提案条例で税金を取るようなものは、和歌山県の事例しかないと思います。後は首長側で、課税自主権、地方分権一括法で権限が拡大されましたので、法定外目的税というものの事例は増えています。

 例えば、河口湖の釣りをする人に税金を払ってもらう、また有名なのは、東京都のホテル税などです。やはり課税する対象を、地域の住民方にするのは難しい状況です。現在では、外から来る人に対して税金を取るというのが、殆どではないかと思います。

 今後、財政を考えると、住民の方に税金を払ってもらうとか、標準税率を引き上げるといったことが必要になってくると思います。それが、議員提案で出来るのであれば、素晴らしいと思います。

 

仙谷由人: 生活周りの地方政府の公共サービスの事業は、殆ど今までは補助金がついてくるか、国に無理矢理やらされるかのどちらかでした。つまり、機関委任事務か自治事務です。

 これは、殆ど条例はなくて、中央には「補助金何々事務実施要綱」があって、それに基づいて補助金が下りてくる。あるいは、事業認可を受ける。従って、都道府県も市町村も、「補助金何々事務実施要綱」、それから市町村に、自分の下に位置しているものに金を出す時には補助金交付要綱みたいなことが非常に多いのです。

 そうだとすると、それを一つ一つ議会が拾い上げて、議会のほうから条例化していくことを、極端に言えば全く同じ文章でも条例化していくことは、政治的には意味がないことはありません。

 つまり、条例制定のプロセスの中で、タウンミーティングや説明会、パブリックコメントの手続きをすれば、それだけ住民に対する住民の参加意欲と、住民に責任を持ってもらうという意識は作れると思います。

 そこは、議員、あるいは議員候補者にとっては、ある意味でコーディネーターをする作業は面倒ですが、その事によって住民と一緒の政治をしていくという共感と信頼を得ていく作業であるのではないかと思います。

 先程、税金の問題が出ました。あるいは優先権の話も出ました。つまり財源が限られてくる、30人学級をしようとすればこの条例作ればどっかの財源を削るという事を議員の方から責任を持って説明しなくてはいけません。その財源はどこから引っ張ってくるのかという話になると思います。

 全て行政にお任せで、つまり現行制度はあるとしても言い訳程度ではだめだという時には、条例を作って財政上の措置を義務付けておけば、後は何回か質問をして、条例作成の過程で住民を巻き込んでそれが大事だということになれば、多分予算もついてこざるを得ないと思います。

 しかし、その予算はどっかから削ってこないといけないとなると、やはり住民を巻き込んでおかないと大変な事になると思います。私はそういう時代が来ていると思います。

 旧保守革新の別で言えばこれをやりだしているのは、保守の会派が多いと思います。いわゆる昔の革新よりは、保守のほうが多い。

 それは政治や行政に取り組む責任意識が強い方がいて、与党としても強かったし、現在は「ちょっと変わってきたぞ」というようなことを、早く何らかのことで1人か2人、気がついた人が中心となって広がっていっているのではないかと思います。

 従来の仕分けによる保守革新は、全くといっていいほど意味がなくなってきたと思います。

 政策というのは、どこから出てきて実現するまでのタイムテーブルというか、どのくらいの短期的課題なのか、中期的課題なのか、長期的課題なのか。

 例えば徳島市でいえば、眉山を抜く道路の話は、これは市だけでできればいいけれども、市、県、あるいは中央政府の関係の話かも分かりません。そうすると、その事との関係で、時間軸も考えなければいけないと思います。それは時間軸についてのイメージと想定を持っていれば大丈夫だと思います。 

乙井氏:政策において、中央の政党と徳島県連と関係は、どういうふうに考えるべきですか。

 

仙谷由人:ローカルマニフェストである以上、地域の特性を活かしてマニフェストを作って、条例化しなくてはいけません。

徳島市と鳴門市でも、多分、徳島市と阿波市との比較で言えばもっと極端に言えると思いますが、医療でも何でもそうですが、経済基盤から就労構成基盤から全部違いますから、全く同じマニフェストは意味がないと思います。だから、ローカルマニフェストの意味があるという話になると思います。

一定範囲の政策的・政治的な項目については、それぞれの地域がそれぞれに優先度をつけて懐具合も考えてやっていただくのが、ローカルマニフェストとして意味があると思います。

もし、中央的にこれとの関係で言うとするならば、モデル的な、マニフェストのモデルを示す。あるいは、情報の集約選択、つまり「あそこはこんなことをしているな。自分達とよく似ているな。」という情報を集めて選択していく。

党に意味があるとするならば、今、党にそこまでの経験や能力があるとは思えないのですが、モデルを示す。情報を収集して情報提供する。あるいは、法的なアドバイスをするということになるのではないかと思います。

                                  以上